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『かけぬけ★青春スパーキング!』感想

目次


はじめに


 ちゃすちゃす✋
 どーも、永澄拓夢です。

 てなわけで、今回の感想対象作品はこちら!

『かけぬけ★青春スパーキング!』
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 2020年夏に『SAGA PLANETS』さんから発売された現最新作ですね。
 見るからに夏ゲーなので、熱くなってきた今の時期にプレイするのがちょうど良いと判断しました(注意:この文章を書いたのは夏真っ盛りの時期です)。
 発売前、巷では期待値が賛否両論だった本作ですが、果たして私は楽しめるのでしょうか。

 というワケで、さぁ蓋を開けますわよ!

あらすじ


 主人公、遠野遊は風見学園の二年生。
 思春期まっただ中、青春まっただ中のお年頃。だが────

 「青春? 何、それ。俺はバイトで忙しいんだよ」

 彼は青春をバイトにささげる、超リアリストだったのだ。
 学業を器用にこなし、日々バイトに明け暮れて金を稼ぐ。
 趣味は預金通帳の残高をチェックすることだ。
 そんな遊を見かねた幼馴染みの響と、遊を師匠と仰ぐクラスメイトの理々は、彼をとある部に入れて更生させようとする。

 響が勧めてきたのは、「学園でもっと青春して楽しく行動しよう!」がスローガンのにぎやか系女子で構成された「行動部」、通称「アクティ部」。

 理々が勧めてきたのは「貴重な青春を世の中を良くするために費やそう」がスローガンの真面目系女子で構成された「ボランティア部」、通称「ネガティ部」。

 どちらの部も執拗に遊を誘ってくる。
 「どっちも興味ねーし。そもそも俺には青春なんて必要ない」
 遊の意思には関係なく、彼女たちに引っぱりまわされる日々────。
 いったいどうしたってこんなことに?

 「そんなの決まってるじゃないっスか」
 「覚悟して、先輩もそろそろせーしゅんするっス!」

 はたして、遠野遊にはいったいどんな────青春────が待っているのか!?

 引用元

所感


 全体を俯瞰してみれば良作であると言える作品です。
 『青春』というテーマを一貫してやり遂げていましたし、ヒロインの魅力を上手く引き出していたことからもイチャラブゲーとしてのクオリティも高いと思いました。
 また、シナリオについても各ルートそれぞれ違った良さがあったので、その点も良かったです。複数ライター制の良さを活かした作品であったと言えるでしょう(悪い部分もありましたが)。
 世間での評価はあまり高くありませんが、だからと言ってあまり忌避して欲しくない作品ですね。掘り下げることで良さが見えてくる作品ですので、ぜひ迷われている方は一度手に取ってみてください。

~以下ネタバレ有~











各ルート感想


 攻略順は以下の通りです。
 凪子√➡栞里√➡理々√➡律√➡響√➡橘花
 

共通パート

 けっこう面白かったです。
 最初こそ「主人公の境遇なんぞ知ったことか」と言わんばかりのヒロインズの言動にはイライラさせられたので、先の雲行きを心配しておりましたが、展開的にはどんどん盛り上がっていってくれて一安心。
 厳しい境遇であることに加え、何かしらを抱えている主人公。突然立ち塞がる巨大な壁。因縁の敵。敗北と逆境からの逆転劇。盛り上がる要素をいくつかしっかりと抑えていることに加え、主人公が主人公らしく主人公としての役目を果たしていた点が大きな評価点ですね。

 しかし、序盤で出てきた巨大な壁を共通パートで乗り越えてしまったあたり、「あくまでもピークは共通パートであり、個別√ではヒロインとのイチャイチャが繰り広げられるだけなのでは……?」という懸念も湧き始めました……。
 なんとか共通パートでの面白さを個別√でも保ってほしいものです。そう祈りつつ、個別√に進みます。

 

海堂 凪子√

●シナリオについて
 可もなく不可も無し────という表現が一番しっくりきますかね……。
 『井の中の蛙大海を知らず』という諺を体現した物語だったように感じます。というか、物語中でも凪子が言っていましたね。
 葛藤シーンが長いことは丁寧で良いんですが、それはそれとしてグダりすぎな印象も受けてしまいました。また、結末自体は正直しょっぱいです。『成功』ではあるんですが、『満足のいく着地点』では無いというか。「あぁ、そういうリアルな結論を出しちゃうんだ……」的な。まぁ、エピローグでは上手くいった未来が描写されていたので、それで満足してくれってことだったのかもしれませんがね。

 あと、凪子の持っていた『柔道属性』が脇に追いやられて全く活用されなかったことに対するモヤモヤは残りました。本ルートは、凪子の趣味がサーフィンであると明かされてからは、サーフィン一辺倒なシナリオになってしまいます。柔道シーンなんて隙間の数シーンしかありません。加えて、サーフィンを続ける上での弊害にでもなる(或いはその逆の展開)かと思えばそうでも無いと。
 ここまで気持ちよく捨て去られる設定ってあるんだなーと思いましたよ。柔道視点で凪子がサーフィンに寝取られるNTR作品を読んでいるような気分でした。(ただし興奮はしない)

柊 栞里√

●シナリオについて
 面白かったです。
 過去のトラウマにより、自分を表現して他者と関わることが出来なくなってしまった栞里。そんな彼女が、過去を乗り越えることで成長するという物語。
 昨今流行の『Vtuber』が題材として用いられていましたが、あくまでも物語を彩るための『手段』としてしか使われていなかったあたり、『神様のような君へ』や『お前のスパチャで世界を救え』とはまた異なる印象を受けました。

 本ルートは特に、ストーリーラインが綺麗でしたね。【付き合い始めてからスランプに陥る➡スランプ解決のために試行錯誤する中で過去を乗り越える➡それに伴って本来の自分の夢(スランプ対象の行動原理)を思い出す➡スランプ脱却】という、無駄を感じさせない物語構成には脱帽です。
 また、猫のような栞里の可愛さが上手く発揮されているシナリオにもなっていました。『萌え』というものを感じられました……。

鹿島 理々√

●シナリオについて
 普通に楽しめました。
 イチャラブ系シナリオとしては高い水準のルートだったと思います。
 両想いながらも互いに遠慮して踏み出せない展開には没入させられましたし、付き合い始めてからの初々しいスキンシップにもドキドキさせられました。加えて、理々のバックグラウンドをしっかりとシナリオに反映させた上で、これ以上なく可愛さを表現出来ていた点も評価ポイントですね。

 エロゲをプレイし始めてはや数年。先日『いきなりあなたに恋してる』をプレイした際にやっとこさ『”ヒロインの可愛さ”による楽しみ方』を習得したワケですが、本ルートもその楽しみ方が活きる類のシナリオであったと考えています。
 ……ただまぁ、恋愛感情に至るまでの過程が薄味である点は残念です。一応語られましたが、ほぼダイジェストという形式でしたからね。そのため、『恋愛劇』とまでは言えませんが、『イチャラブ』としては充分かと。

 とは言え、終盤で少し気にかかる要素はありましたね。主人公が理々を孕ませようとし、理々もまたそれを受け入れている場面です。別段エロゲでは珍しいことではありませんし、むしろエロゲだからこそ見過ごせてしまうような要素でもあるのでしょうが、この本作において私はこれに納得出来ませんでした。
 というのも、まず本作の主人公は妹と二人暮らしです。金銭的に余裕は無いので、奨学生として勉学にも励んでいますし、アルバイトにも勤しんでいます。要は、主人公は自分と妹の生活を守っていくだけで割かし手一杯なハズなんですね。そんな境遇の主人公が、あろうことか後先考えずに学生の内から子供を作ることを良しとする。いくら性行為中で思考能力が低下しているとはいえ、私は主人公のこの言動には首を傾げるばかりでした。というか、性行為後ですら在学中に子供を作ることを良しとしていましたしね。本当にそうなったらどうするんでしょう。自分たちでは責任を取れないし、主人公サイドは気軽に支援を受けられないしで、理々の両親から支援を受けるしかなくなるような気もしますが……。うーん……主人公としてはみっともないような……。
 響曰く、『後先考えずに今を楽しむこと=青春』とのことですが、これはさすがに考えなさすぎでしょう。仮に本当に妊娠したとして、そんな過ちすらも『青春』の一括りにしてしまえってことなんですかね。opのフレーズから引用すると、「全部夏のせいにして」ってことなんですかね。……それじゃ納得は出来ませんよ。なんでもかんでも行き当たりばったりで良いというワケではありません。『今を楽しむ中で未来を見つけ出すこと』もまた『青春』の醍醐味みたいなことを言っていたのは他ならぬ理々さんじゃありませんでしたか? 青春の中で主人公と理々が共に過ごしていく未来が生まれたまでは良いでしょう。であれば尚の事、その未来は大切にしなければならないのでは? それとも、青春の中で生まれた未来までをも、青春の中では無視してしまうんでしょうか? せっかく生まれた未来を悪戯にいばらの道にすることは、はたして輝かしき『青春』なんでしょうかね。

遠野 律√

●シナリオについて
 素晴らしかったです。
 まさか本作で涙を流すことがあるとは、予想だにしていませんでした。というのも本ルート、がっつりと主人公の抱える家庭的問題に切り込んでいったワケですよ。そのため主人公の葛藤が凄まじく、没入していた私も感情が綯い交ぜになるレベルでした。んで、その末に、終盤では実際に今まで恨んでいた母親との決別シーンが描かれたワケで……その場面における主人公の胸中や振る舞いがまた素晴らしいんですよ。主人公の抱えていた問題は決してご都合的なハッピーエンドで終わることは無く、主人公としても母親としても溝を埋められないまま痛みを残した結果となってしまいます。けれども、それは不完全燃焼とか不満が残るとかそういう結末では決して無かった。互いにしっかりと『決着を付けた』と言える結末だったんです。主人公のあの結論で、あの選択で、ハッピーとはいかないけれども納得出来る結末を見せてくれたんです。だからこそ私は、本ルートに対して涙を流すことが出来たのだと考えています。非常に大きな評価点です。……というか、これがサブヒロイン√ってマジ……? サブヒロイン√とは思えない程に本作にとって重要なシナリオだったのですが……。

 加えて本ルートシナリオ、『妹(義妹ではありますが)との”恋愛劇”』としても重要なことがしっかりと考慮されていて、なかなかにハイクオリティだなぁと感嘆しました。というのも、本ルートでは主人公と妹が付き合う上で発生するであろう外部による偏見・好機の目についてもしっかりと考慮されているんですね。それらが予想されるから妹のために付き合わない選択をしようとするだとか、それらに負けないという強い意志を示した上で付き合う決心をするだとかって感じです。こういう外部からの奇異の目への考慮って、わりかしエロゲでは無視されることが多いという印象を持っています。姉や妹と付き合うとなっても周囲は普通に祝福するだけだったりとか、そもそも奇異の目を向けられる可能性すらシナリオ上に浮上しないだとか。だからこそ私は、本作でその可能性に触れ、しっかりと考慮した上で付き合うという結論に至ったことを評価します。
 ……まぁ、実際に奇異の目を向けられる場面があったワケではありませんがね。しかし代わりに、付き合っていることを青春部メンバーに伝えていない状態でベタベタしていた主人公と妹に対する青春部メンバーの反応がとても生々しかったです。彼らは事情を話せば祝福してくれるでしょう。だからこそ、あえて事情を知らせていない状態で、青春部メンバーからあの反応を引き出したのは、英断だったと思います。あの描写が、実質的なイチャつく兄妹に対する『一般人の見方』の描写になっていますから。事情を話せば受け入れてくれるであろう彼らですら、普段はそういう『見方』をしているワケです。本当に効果的な描写ですよ……素晴らしい……。

小日向 響√

●シナリオについて
 基本的には退屈なルートでした。
 響を好きになれるかなれないかで賛否が分かれそうだと感じましたね。

 最も分かりやすく『青春』を体現したシナリオだと考えられます。基本的には夏休みにやりたいことをやりまくって、後先考えずにそれらを楽しむって感じ。そしてその中で、恋愛関係が発展したり、みんなで大きな難関を乗り越えたりという流れです。
 本ルートシナリオは間違いなく響の『我を通して周りを引っ張る性格』ありきな物語であったため、その点では特に響の性格に文句はありません。必要性を示したのでね。ただ、それと響を好きになれるかどうかは話が別なんですよね。個人的にはあまり響を好きになれなかったので、シナリオにイマイチノり切れなかったって感じでした……。

 それはそれとして、最後に響が封じ込めてきた想いを青春シャウトで吐露するシーンはとても良かったです。響が自分の殻を破る最大の見せ場であったからというのはもちろんのことですが、その他にもあのシーンでは、『青春』の『こっぱずかしさ』というものが上手く表現されていたのでね。  ちなみに、『恋×シンアイ彼女』という作品では以下のようなセリフがあります。

「頑張るのは恥ずかしい。頑張らないのはもっと恥ずかしい」
「『青春』は恥ずかしい」

 まさにその通りなんですよ。自分の青春時代にも恥ずかしいことはたくさんありました。しかし、そういう恥ずかしさこそが、大人になって思い返してみると良い思い出になっていたりするものなんですよね。
 これまで様々なルートを見てきましたが、みんな何かしら自分の『青春』に対して一生懸命でした。そしてそれらは、時としてこっ恥ずかしい行為であったのかもしれません。上記のセリフは、本作でも体現されているのだろうなと思いました。

橘花

●シナリオについて
 グランド√だけあって、本作を綺麗に纏めるシナリオとなっていました。本作にて激しくプッシュされた『青春』が、なぜ重要なものなのか。それが語られるのが本ルートになります。そういう意味では、それなりに良いシナリオだったとは思うんですがね……。

 個人的には、ぶっちゃけ拍子抜けのシナリオでした。予想を全く超えてくれなかったというのが大きな要因ですね。
 というのも、本ルートで明かされる真相って、本ルート開始前から容易に予想出来てしまうものばかりだったんですよ。私に至ってはほぼ全ての真相が分かっていましたし、それに伴って本ルートがどのような展開になるのかも予想出来てしまっていました。
 唯一外れていたのは、橘花が死後の幽霊ではなく幽体離脱状態の生霊だったということ。しかしむしろそれが判明したことによって、エピローグにおける救いの展開も予想出来てしまいました。元々死後の幽霊という予想をしていた分、「生霊にしているあたりちゃんと『救いの可能性』が用意されているんだなー」という見方が出来てしまったワケですね。
 要は、本ルートには何一つ『驚き』が無かったワケです。エンディング前の消滅展開も分かりきっていることだったので泣けませんでした。そのあたりが残念でしたね……。いやホント、他のルートで不必要にヒント出しすぎやっちゅーねん……。

 ただ、エピローグ自体は良いなと思えました。橘花がしたいと言っていた旅行先を、橘花の快復を願って主人公が回っていたという展開ですね。アレは不意打ちですよ。「主人公やるやん……!」ってなりました。

総評


●シナリオについて
 全体を総合してみれば、良作であったと考えられます。正直な話、期待値はそこまで高くなかったので嬉しい誤算です。
 シナリオ的にはイチャラブゲーの領域こそ出られなかったものの、イチャラブゲーとしてのクオリティは高かったのではないかと。ヒロイン全員の魅力を引き出せていましたからね。ただイチャラブさせるだけでなくヒロインのこともしっかりと掘り下げるってのは大事なことです。
 また、各ルートの展開が本作の根幹にあるテーマからブレなかった点も評価ポイントです。本作のテーマはシンプルに『青春』だったワケですが、各ルートそれぞれメインとなる共通アプローチとサブとなる個別アプローチを組み合わせて多種多様な『青春』を体現していました。これが上述した『全体を総合してみれば』という言葉の所以ですね。本作の良さは、全体を俯瞰してみることで初めて見えてくる類いの魅力であると考えられます。

 ただやはり本作、共通パート・律√・橘花√(エピローグのみ)以外での主人公が薄味なのは残念。響√に至っては響が主人公と言っても過言ではありませんからね。いくらイチャラブゲーとはいえ、主人公にもしっかりと『主観者』止まりではなく『主人公』の役割も果たし欲しかったです。

●キャラクターについて
 『遠野 遊』について。主人公。青春初心者。
 初期こそ若干拗らせている感がありましたが、吹っ切れてからはその点も改善されていたように感じます。
 彼の最大の見せ場はやはり、巨大な敵に立ち向かう共通パート・家族と向き合う律√・本作を〆る橘花√の3つでしょう。主人公としてのカッコ良さを見せてくれたと思います。
 ただしかし、それ以外のパートでは基本的に薄味だったのが残念です。ポテンシャルはあったのだから、もっと魅せて欲しかったですね。

 『小日向 響』について。カリスマ性の高いヒロイン。主人公の幼馴染。我を通して皆を引っ張るリーダー気質。
 正直最後まで好きになれないキャラクターではありました。とはいえ、彼女の悪い部分に関しては性格的に仕方がないですし、シナリオ的にも必要な要素だったとも思います。
 ただまぁ、主人公への想いは人一倍ですよね。個人的にはダイレクトに恋が実る響√の彼女よりも、想いに蓋をして退いたことが分かる律√での彼女の方が印象に残っていたりします。
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 『鹿島 理々』について。おしとやかな清楚系ヒロイン。性善説の擬人化みたいな存在。
 精神があまりにも綺麗すぎるんですよね。彼女は服装や立ち居振舞いからもその品位の高さが伺えますが、内面もその通りとは恐れ入りました。
 そんな彼女の行動原理が、実は自身のエゴのためだったというギャップもまた良い。好きなヒロインの一角です。
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 『柊 栞里』について。受動的で大人しい後輩ヒロイン。Vtuberシオリンの中の人。
 一番好きなヒロインです。ルート自体が彼女の成長物語だったこともあり、彼女のいろんな側面を見ることが出来たのは嬉しかったですね。
 猫みたいで非常に可愛かった……。俺も甘えられてぇ……。
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 『海堂 凪子』について。パワー系先輩ヒロイン。合気道とサーフィンを嗜むスポーツウーマン。
 気の強いサッパリとしたヒロインだと思って蓋を開けたら、実はめちゃくちゃ乙女というギャップ。これ非常に良かったですね。
 彼女に関しては共通パートの時点で最も好きなヒロインでした。先輩だからか周りが見えていましたし、ヒロインの中でも特に理性的な部類でしたからね。
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 『遠野 律』について。家庭的ロリ系ヒロイン。主人公の義妹。
 そもそも属性からして好きなヒロインです。ブラコンっぷりも眼福でした。
 主人公と二人で未来を切り開いていって欲しい……。応援しています。
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 『橘花』について。生意気な後輩ヒロイン。幽体離脱状態の生霊。尚年齢はそれなりに上。
 主人公とはトップクラスに縁の強いキャラクターでしたね。生意気な後輩好きです。でも彼女は先輩属性も持っているんですよね……。うーん強い。
 橘花√開始前で既にほぼ展開が読めていたという旨は上述しましたが、その時点で私は彼女が助かることは無いと考えていました。既に死んでいると思っていたんでね。エロゲでよくあるヒロイン消滅エンドだろうと思っていたワケです。それが蓋を開けてみれば救いはあったワケですから、良かったなぁと。コテコテのハッピーエンドも私は好きですよ。
 彼女はこれまで散々な目にあってきました。これからは、幸せな未来を歩んで欲しいです。
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 『神楽坂 慎二』について。主人公の親友。女性恐怖症の残念イケメン。
 正直な話、彼の存在意義は分かりませんでした。なんか数合わせで投入されたキャラクター感が半端なかったです。
 その上、彼に関してはルート間で別人のようになっていることも多々あったため、複数ライター制による弊害の体現者でもありましたね。
 ただまぁ、主人公にとっては良い親友ではありましたから……いて良かったキャラクターなのかな……?
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 『岬 和水』について。主人公と律の叔母。共通パートのラスボス。
 共通パートではラスボス、各個別ルートでは力強い協力者として登場したキャラクター。共通パートでは悪役パフォーマンスしていただけとのことでしたが……。個人的には最後まで悪役に徹して欲しかったです。
 ただまぁ、彼女が悪役のままだと主人公の境遇問題(主に金銭事情)が解決せず、主人公が青春に集中出来なかったり、各個別ルートで協力してもらえなかったりと弊害は出たでしょうから、これで良かったのでしょうか……。うーむ。
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●テーマ・メッセージについて
青春
 シンプルですが、本作のテーマはこれに尽きるでしょう。この後に、「青春を謳歌しろ」というメッセージが続きます。
 本作では、『恋愛』という『青春』の一大イベントこそ全ルートで共通していましたが、それに加えて各ルートでは多種多様な『青春』が描かれていました。
 凪子√では、スポーツに打ち込み、挫折を乗り越える『青春』。
 栞里√では、夢を追い求め、過去のトラウマを乗り越える『青春』。
 理々√では、ずっと片思いしてきた異性との恋を叶える『青春』。
 律√では、家族と向き合う『青春』。
 響√では、思いつく限りの楽しいことをして仲間と過ごす『青春』。
 橘花√では、苦しい境遇により謳歌出来なかった青春を取り戻す『青春』。
 そしてそれら全てにおいて、『青春』というものを蔑ろにしていた主人公が、『青春』の良さを知る物語だったワケですね。
 さらに本作では、『なぜここまで青春をプッシュするのか』という理由までが語られます。グランド√とも言える橘花√で語られた設定では、人間は常に青春カウントなる『生命の輝き』を持っていて、それが薄ければ薄い程に悪い運命を引き寄せ、終いには死んでしまうとのこと。オカルトじみた設定ではありますが、むしろ私はこれをスピリチュアル的な啓発であると解釈しました。
 「笑う門には福来る」
 日本人であれば、一度は聞いたことのある諺でしょう。つまるところ私は、本作で言いたかったことってこれに集約されるよねと考えたんですね。『青春』を謳歌し、日々を楽しむことこそが、自身にとっての良い未来を切り開く大きな要因になるのだと。逆に、『青春』を謳歌せず、日々を楽しむことなくどんよりとしていては、幸福も良い未来も逃げてしまうのだと。
 ただ、本作でピックアップされているのはあくまでも『青春』です。『青春』と言えば、10代(学生)の特権みたいな印象がありますよね。じゃあ、私たちは俗に言う『青春時代』を過ぎればもう、良い未来を引き寄せることは出来ないのでしょうか?
 これに対する解答が、作中における以下のセリフです。
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 そう、青春時代は終わらないんです。私たちは、大人になった後であっても光り輝くことを許されているのです。
 だからこそ私たちは、恥ずかしがることなく日々を楽しみましょう。いい年した大人が『青春』していてもいいじゃないですか。それがきっと、幸福への足掛かりになるのですから。 

おわりに


 『かけぬけ★青春スパーキング!』感想、いかかだったでしょうか。

 期待を超えてくれる作品だったので、私はご満悦です。共通パート終了後に数ヵ月間積んでしまってすみませんでした……。

 次にプレイする作品は、『こなたよりかなたまで』を予定しております。

 それでは✋