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『白詰草話』感想

目次


はじめに


 ちゃすちゃす✋
 どーも、永澄拓夢です。

 てなわけで、今回の感想対象作品はこちら!

白詰草話


 ひと昔前のエロゲーマーの間では度々話題に挙がるブランド『Littlewitch』。解散して尚、未だに根強いファンを散見するブランドですね。
 そんなLittlewitchさんの作品の中でも特に有名なのが、本作『白詰草話』でしょう。オープニングやエンディングが名曲として有名ですからね。そこから知ったという方も多いのではないでしょうか? かくいう私もそのクチです。
 オープニング映像を見た限りでは非常に私好みな展開を魅せてくれると期待しております。

 というワケで、さぁ蓋を開けますわよ!

あらすじ


 過去の記憶、追加された24対目の遺伝子────

 2008年、東京――。
 絶大な政治力を背景に超法規的な活動を行いながらも、その実態、目的が謎に包まれた研究機関『古痕』。 各分野の傑出した人材が集まるその組織の中でも、ひときわ異彩を放つ研究者がいた。彼の名は津名川宗慈。遺伝子工学に長け、戦闘用アンドロイドの研究を行う彼の知識の深さと鮮烈さは、 まるで『はじめから答えを知っている』かのようであった。

 その研究段階で作り出され、エマ、沙友、透花と名づけられた三人の少女達は、追加された24対目の遺伝子ゆえに『エクストラ』と呼ばれていた。表面的には穏やかに見えた彼と彼女達の日常は、研究所に侵入してきた正体不明の軍事ロボットとの戦いを境に変化する。

 それぞれの思惑、そして深まりゆく謎────

 さまざまな事件を乗り越え、徐々に明らかになっていく計画の全容とそれぞれの真の目的、エクストラに関わる人間たちの悲しい過去。エクストラの兵器としての性能を知り、暗躍を始める軍部。独自の正義に基づいて動く、公安のナンバーレスエージェント『荒山鳥人』。津名川にライバル意識を燃やすもう一人のエクストラ開発者『高宮エレン』。

 交錯する人々の思惑の中で深まり行く謎。……『古痕』、『オリジン』、そして『バベル』とは……。行き場のない幾多の軋轢がドミノのように加速し、物語はすべてを巻き込みながら終焉へと昇りつめていく……。  

所感




~以下ネタバレ有~











総評


●シナリオについて
 突出こそしていないものの、程々に面白かったです。
 物語構成はアニメ寄りであり、1話1話がしっかりと纏まった話作りとなっていたため中弛みしませんでした。加えて、漫画的なコマ割りを上手く駆使した演出技術は非常に高度であり、飽きるどころかデジタルコミック的な作品としても満足出来るクオリティとなっていました。『ノベルゲーム』という媒体の”可能性”を存分に発揮した作品であったという点では非常に高く評価しております。
 ホント、失われたのが惜しまれるブランドですね……。特に演出面においてはエロゲ業界でも類を見ない技術の持ち主でしたからね……。昨今では『HARUKAZE』さん系列がこの演出技術と似たことをし始めておりますが、個人的にはとても応援しています。いやまぁ、コストが多大にかかるから割に合わないということは重々承知なのですが……。

 シナリオに関しては、上述した通り中弛みも無くよく纏まった物語だったなぁという印象です。日常パートとシリアスパートのバランスも適当であり、心地よい展開の抑揚を感じることが出来ました。
 特に面白かったパートは、やはり終盤で基地に潜入してからエンディングまでの一連のパートでしょうか。因縁バトルラッシュはアツいですよね。クライマックスという感じで好きでした。……まぁ、高宮戦は若干不完全燃焼感が否めませんが……。それはそれとして荒山がかっこよすぎる。最初は悪党みたいな感じで出てきたのに、蓋を開けてみれば信念を貫き通すタイプの『正義』でしたからね。あんなの反則でしょ。
 本作、とにかくサブキャラクターが魅力的なんですよね。というのもまぁ、おそらくはテーマ的にキャラクターの意志や信念が強く発揮されるタイプの物語だからなのでしょうがね。しかしその弊害か、特に深く掘り下げられることの無かったヒロインズのインパクトが弱い。正直、ヒロインズに関しては「かわいい」か「うわようじょつよい」くらいしか語れません。これ、本作がシナリオの構造的に個別パートイベントのボリュームが少なく、且つほとんど全てのイベントが同じような内容の焼き増しだったことも影響しているのかもしれませんね。この点は残念です。……え? 主人公? 主人公はなぁ……パッとしないし、重要な場面で自分を棚に上げた発言をしていた点が気になったし、エクストラ三人を戦わせたくないと言いつつ結局敵が現れたら普通に戦わせているしで、何というかブレが気になる主人公だったという点であまり魅力は感じませんでした……。

●テーマ・メッセージについて
今手の中に無いモノを追求するのか、今手の中に有るモノを愛すのか
 事件の渦中にいた面々は、主にこのどちらかに分類されるキャラクターであった印象があります。スパッドや高宮、グラハムが前者で、津名川や荒山、筒井が後者という感じですかね。最終的には、前者よりも後者の意識を大切にしようという結論に落ち着いたのかなと解釈しています。たしかに津名川の言う通り、前者タイプの人間は『今自分の手の中に有るモノ』が見えていないことも多いので、まず後者の意識を持つということは大切なのだろうなと思いました。
 ……ただまぁ、これは私個人の意見ですが、私は別段前者が間違っているとは思いません。劣等感に苛まれて強大な力に手を伸ばしたスパッドや高宮を、私は決して否定することが出来ませんからね。スパッドの言い分にもあった通り、後者はたしかに『≪持つもの≫の理屈』なんですよ。世界には本当にほぼ手の中に何も大切なモノが無い≪持たざるもの≫や、手の中に大切なモノがあってもそれに満足出来ないという人間も存在するワケです。そんな人々に「今手の中に有るモノを愛せ」などという言葉は、ある種残酷であるとも考えられます。というか、正直私はスパッド側と親和性の高い人間なので、頭ごなしに前者が否定されてしまったことにモヤっとしてしまった感じでした。この点は、少し私の肌には合いませんでしたね。

おわりに


 『白詰草話』感想、いかかだったでしょうか。

 沙友ちゃそ~~^^

 次にプレイする作品は、『終のステラ』を予定しております。

 それでは✋