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ノベルゲーム感想と思考出力

『非実在系彼女の終活』感想

目次


はじめに


 ちゃすちゃす✋
 どーも、永澄拓夢です。

 てなわけで、今回の感想対象作品はこちら!

非実在系彼女の終活』
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 『虚構英雄ジンガイア』でお馴染みの同人サークル『ばかすか』さんから2022年にリリースされた作品です。内容は、2021年にフリーゲームとして世に送り出された『彼女系生命進化論パーフェクト★ガール』の外伝とのこと。
 ばかすか作品は全て私の心に刺さる作品なので、本作にも多大な期待を寄せております。

 というワケで、さぁ蓋を開けますわよ!

あらすじ


 < 私のノベルゲームは、遺言だ――― >

 これはパーフェクトガールの裏に存在した物語

 嘆き 苦しみ 叫んで
 救われなくても
 ハッピーエンドじゃなくても
 納得のいく終わりじゃなくても

 存在だけは―――知ってほしい

 引用元

所感


 面白かった……。
 相変わらず私の心に刺さる内容となっておりました。1時間足らずで泣かせてくるわ、完走後の余韻は強烈だわで、本当に素晴らしい作品だと思いました。
 ノベルゲーマー(或いはエロゲーマー)であれば、まずプレイして損のない作品です。訴えてくるものがあります。
 前作の『彼女系生命進化論パーフェクト★ガール』からぜひ手に取ってみてくださいね。そちらはフリーゲームなので!

sowchild.booth.pm booth.pm

~以下ネタバレ有~











総評


●シナリオについて
 素晴らしかったです……。
 『彼女系生命進化論パーフェクト★ガール』の外伝ということで、間違いなくメタ的要素で考えさせられる作品だろうなと思っていましたが、まさしくその通り────というか、期待以上に心に刺さる作品となっておりました。

 前作である『彼女系生命進化論パーフェクト★ガール』は、「ノベルゲームをプレイすることで観測者(=ユーザー/プレイヤー)がヒロインに救われている」という点に焦点の当たった内容となっていました。
 それに対して本作では、「なぜ創作者は創作をするのか」・「なぜ観測者(=ユーザー/プレイヤー)は創作物を手に取るのか」という二点に焦点が当たります。要は、創作者とユーザーの両サイドが『創作物』に携わる『意義』について語られるのが本作というワケです。
 ここで重要となるのは、『彼女系生命進化論パーフェクト★ガール』で焦点が当てられたテーマは、ユーザーの『目的』ではなく『結果』であるという点です。「観測者がヒロインに救われている」という事実は、観測者がノベルゲームに触れることによって生じた『結果』です。なにも観測者は、最初からそれを『目的』として創作物に触れているワケではありません。「ヒロインに救われる」という結果はあくまでも創作物から得られる一要素であって、観測者はもっと広い『目的』を以て創作物に触れているのです。

 ではまず、「なぜ創作者は創作をするのか」について。
 これについては、もはや本作のキャッチコピーこそが答えです。本作のキャッチコピーは以下の通り。

私のノベルゲームは────遺言だ。

 まさしくその通りなのかもしれません。きっと世の創作者は、自分の秘めた想いや伝えられなかった感情、後悔を書き消し、そして自分の意志を世界に刻むために創作をしているのです。そうでないなら、創作なんて自分の内に秘めていればいい。表に出すということは、つまりはそういうことなんです。そして、自分の遺した創作物という『遺言』が、どこかでずっと繋がっていく。遺り続ける。それを望むからこそ、創作者は創作し、発表し続けるんでしょう。
 また、創作の起源はきっと、『自分が主人公やヒロインじゃない』という”自覚”なのだろうということも本作では語られています。自分がこの世界において主人公やヒロインとして振る舞えているのであれば、なにもわざわざ意志を吐き出す場所を現実から創作の世界に切り替える必要はありません。創作物として”世界”を夢想する以上は、『現実における自分が主人公やヒロインなどではない』ということを自覚しているという理は納得出来ます。
 ちなみに上記の『自分が主人公やヒロインじゃない』という自覚は、そのままユーザー側にも共通する起源なのだろうなと私は感じました。そしてそれが、「なぜ観測者(=ユーザー/プレイヤー)は創作物を手に取るのか」に繋がるワケですね。ユーザーもまた、現実で自分が主人公やヒロインでないことを自覚しているからこそ、創作の世界に自身が経験出来ない『経験』や『感動』を求めるんです。現実では有り得ない心の揺さぶりを、創作物に求めるんです。そしてその『結果』の一つがきっと、「ヒロインに救われる」ということなんです。

●キャラクターについて
■『アト』について。
 『ユーザー』の役割を持つキャラクターでしょうね。彼女がサキのノベルゲームから得た感動に覚えがあるからこそ、私もまた彼女と共に涙しました。

■『サキ』について。
 『創作者』の役割を持つキャラクターでしょう。彼女の在り方こそが、創作者として在りたい姿でした(実は私も裏で自作小説を書いたり妄想したりする人間なので)。

●テーマ・メッセージについて
 シナリオについての方で併せて語っちゃっているのでそちらで……。

おわりに


 『非実在系彼女の終活』感想、いかかだったでしょうか。

 まきなさん、一生ついていきます!!!!!!!!!!
 それはそうと、私が今後これを超える作品とはまず出会えないだろうと断言するほどの名作『虚構英雄ジンガイア』がついに公式からフリー配布されました。BOOTHからダウンロードすることが可能ですので、ぜひ全人類プレイしやがれください。
booth.pm

 次にプレイする作品は、『ヘンタイ・プリズン』を予定しております。

 それでは✋