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『蒼の彼方のフォーリズム EXTRA2』感想

目次


はじめに


 ちゃすちゃす✋
 どーも、永澄拓夢です。

 てなわけで、今回の感想対象作品はこちら!

蒼の彼方のフォーリズム EXTRA2』


 ついに発売されました! みさき√アフター!! 一時はブランドが解散だかなんだかでどうなることかと思いましたが、無事発売されてくれて安心しております。
 個人的にEXTRA1の方(ましろ√アフター)には大きな不満を抱いたため内容に関してはまだ警戒しておりますが、オープニングを観た感じでは非常にワクワクさせられたため期待もしております。

 というワケで、さぁ蓋を開けますわよ!

あらすじ


 「負けるかもしれない、と思っているからさ」

 「わ、わたし、みさきさんと試合がしたいです!」

 「俺とみさきは何をみているんだろう」

 『わたしはなんでFCを続けているのか、正直、わかんないし……FCをするのが、恐いよ』

 あの時、届いたと思っていた────
 鳶沢みさきと日向晶也のその後を描く、続・蒼の彼方のフォーリズム。EXTRA2。
 引用元

所感


 最ッッッッッッッ高でした……。アツく感動的で、終盤は夢中でプレイしておりました。大満足です。私が求めていた『蒼の彼方のフォーリズム』とはこういう作品だったんだよ……!
 というか本作、『アフター』の領域を遥かに超えていると感じました。通常、『アフター』と言えば後日談────本編後のチラ見せ(ファン向けの蛇足)という位置付けであることが多いです。エロゲでは散見されますよね。本編後にタイトルから跳べたりだとか、FDとして発売されたりだとか。しかし、本作はそんな『アフター』とは到底呼称できない程に本編寄りの内容でした。というかもはや、本作が世に出たことによって、あおかな本編だけでは完結と言えなくなったといっても過言ではありません。それほどまでに”ガチ”の内容となっております。そういう意味では『続編』という呼称の方がしっくりと来ますね。
 また、シナリオもさることながら、演出面のクオリティも凄まじかったです。あおかな本編の際からイベントCGや音楽の使い方が上手いと思っておりましたが、本作ではさらにその技術が磨かれ、より『面白さ』を”体感”出来るクオリティとなっておりました。FCシーンでは手に汗握ること間違い無し!
 あおかな本編を面白いと感じた方にはぜひ手に取っていただきたい作品です。少しでも興味のある方、プレイしましょう!!!!

~以下ネタバレ有~











総評


●シナリオについて
 素晴らしい……。シナリオからしても演出からしても、非常に大きく突出したクオリティの作品に仕上がっておりました。これなら発表から発売まで時間がかかったのも納得です。

 胸を熱くするようなスポ根的展開は健在でしたね。特にみさきが葛藤を吹っ切ってからの展開は片時も目を離すことが出来ませんでした。えぇ、最後まで駆け抜けましたよ。次の日も朝から仕事だというのに夜更かししました。それほどまでに中断したくないと思える展開だったんですよ。
 思うに、本作の”アツさ”は、キャラクターたちの『意志』がしっかりと明示された上での『魂』のぶつかり合いであったという点に起因するのでしょうね。理屈として彼らの『魂』を理解した上で試合を観戦することが出来たからこそ、心を燃え上がらせながら没入することが出来たのだろうなと。

 FC試合パートはどれも面白かったのですが、やはり抜きんでて胸を昂らせてくれたのは終盤の3つの試合ですね。
 『青柳紫苑 VS 真藤一成』は、純粋に男と男の意地のぶつかり合いだとか、ジャイアントキリングだとかの要素がアツかったです。ちなみに私はあおかな本編における『青柳紫苑 VS 乾沙希』で青柳部長に感動したクチなので、尚更本試合が思い入れの強い試合となりました。本音を言えば青柳部長に勝ってほしかったのですが、敗北だとしても納得出来る試合内容となっていてホント凄いなぁと……。おそらく本作の中で最も胸を滾らせてくれた試合です。
 『鳶沢みさき VS 白瀬みなも』は、双方の成長が光る試合で胸が震えましたね。ナイフ(隠し技)で刺されることを恐れていたみさきが多彩なナイフで刺されることに胸を昂らせ、引っ込み思案だったみなもが勇気によってみさきを追い詰める。同じ男を愛した二人の魂のぶつかり合い。歓声を我慢せずにはいられませんでした。
 そしてラストバトル。『鳶沢みさき VS 真藤一成』。真藤さんとの試合はみさきにとって胸の内の”シコリ”でした。故にこそ、みさきは真藤さんを乗り越える必要があったんです。そういう意味では、本作のラストを飾るに相応しい試合であったと言えます。試合内容としても非常に充実していましたね。みさき側は今回準備してきた戦法を惜しみなく発揮し、真藤さん側は強者としてそれらに対応していく。そんな中で、みさきにとっての”シコリ”の原因でもあった念願のコブラも使ってもらえたり、最後の最後までギリギリの戦いだったりと、アツい要素てんこ盛りの試合でした。個人的には、最終局面で今は亡き『蒼の彼方のフォーリズム TWEI』のティザームービーで流れていた曲が挿入曲として使われたのもまたテンション爆増の要因となりました。いや、不意打ちすぎて絶叫しましたもん。隣室の方、ごめんなさい……。

 さて、最後に。
 個人的に本作で大きく評価したい点として、『試合が全て双方にとって意味のあるモノとなっている』という点が挙げられます。これは要するに、『相手サイドが主人公サイドにとってのただの当て馬と化していない』という意味です。サブキャラが主人公とヒロインの物語を盛り上げるための脇役と化しているワケではなく、むしろそちらが主観となっても別の物語として成立するレベルで精密にシナリオが組まれていました。おそらくはこれもアツさの要因となっています。ちゃんとサブキャラにも焦点を当ててくれるの、本当に素晴らしい……。

 補足。
 晶也とみさきの想像試合パートもまた本作屈指の良シーンです。二人だけの世界における真剣勝負という『イチャイチャ』……。俺が求めているイチャイチャってのは、こういうヤツなんだよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(大声)

●キャラクターについて
■『日向 晶也』について。主人公。久奈浜のコーチ。元天才選手。
 みさきの葛藤パートからして、本作ではよりみさきとの共通点が浮き彫りになった形でしたね。頂点で追われる苦しみを知っている彼でなければ、きっとみさきの悩みに寄り添うことは出来なかったと思います。
 選手としても、本作では精神・実態共に復活の準備を整えていましたね。個人的には彼の復活&ボスバトルラッシュ展開を観たいのですが、なかなか叶いませんね……。それだけが残念です……。

■『鳶沢 みさき』について。本作メインヒロイン。メンヘラ気味の天才肌。
 頂点に立ったからこその悩み。追われる恐怖。それに伴う葛藤。FCが好きだけど嫌いという感情。きっとこれらの要素って、例えば明日香√なら欠片も触れられないであろう要素なんですよね。きっと明日香√の続編であれば、明日香はみさきの悩みの種を全てモチベーションに変えて、週刊少年ジャンプ漫画の主人公よろしく駆け上がっていくんだと思います。だからこそ、本作で描かれた葛藤とその後の吹っ切れに伴う反転的興奮は、みさき√の続編だからこそ実現したのだと思います。ホント、どことなくみさきは週刊少年マガジン漫画の主人公感がありますよね。
 最終的に乾沙希の本心を理解する領域にまで到達するの好き。

■『倉科 明日香』について。FC大好きウーマン。圧倒的ポジティブな向上心の塊。週刊少年ジャンプ漫画の主人公みたいだ……。
 相変わらず、FCのことであればどんな要素でもポジティブに受け入れられる強さを持っていました。この点、みさきとは対比関係になっていますよね。本作では特に対比関係が色濃く描かれていたものと考えられます。というか、『楽しさと恐さの到達点は同じ』なんて答えを明日香に言わせる時点で絶対意図した対比関係ですよね。あまりにも好き。


■『白瀬 みなも』について。元FCプロ白瀬隼人の妹。覆面選手の正体。引っ込み思案。
 本作で大きく成長したキャラクターの一人ですね。人一倍引っ込み思案で恥ずかしがり屋だったみなもちゃんが、本作では『勇気』を強く前面に押し出してみさきを追い詰める展開……非常にアツかったです。
 ちなみに実は、個人的にあおかなで最も好みな女性キャラクターだったりします。

■『青柳 紫苑』について。久奈浜FC部元部長。生粋のスピーダー。マッスルブラザーズ兄。
 一つのことを極めようと意地を貫く在り方には本当に憧れます。本ッッッッッッ当にかっこいい。だからこそ応援したくなる。結局、勝ち星と言える勝ち星はなかなかありませんが、乾戦も真藤さん戦も最高に胸を熱くしてくれました。どうか青柳部長の努力が『勝利』という形で報われる日が来ることを心待ちにしています。
 そういえば、真藤さんが青柳部長戦で示した『全局面スピード重視』というスタイルって、おそらく青柳部長の存在があったからこそやろうと思えたスタイルなんでしょうね。晶也ですらそのスタイルを真藤さんから聞いた際に「FCを知ったばかりの小学生が考えそうな話だ」と考えたほどですから、定石からすると常軌を逸したスタイルなのでしょう。そこには真藤さんも気付いていたハズです。しかし、そのスタイルの体現者として粗削りながらも”可能性”を示したのが他ならぬ青柳部長だった。だからきっと真藤さんは「やれる」と感じた。そう考えると、胸に滾るモノがありますね。



■『真藤 一成』について。高藤FC部元部長。北欧リーグへの参戦が決定したプロの卵。マッスルブラザーズ弟。
 強者としての確固たる存在感を有している点が好きです。本作では最終的にみさきが勝利しましたが、次勝てるかは分からないと思わせられる点で底知れないですよね。強くなることに貪欲で、実力差関係なくあらゆるキャラクターから学びを得て吸収している点もまた、強者として納得の在り方だと思いました。
 日向晶也 VS 真藤一成はいつになれば観られるの……?

■『我如古 繭』について。四島水産FC部。
 本編ではあまり焦点が当たらなかったキャラクターですが、本作では惜しみなく個性を発揮してくれました。クールに見えて、陰湿気味ながらも勝ちに貪欲な点は好感ですね。みさきとの再戦展開も機会があれば観てみたいです。

●テーマ・メッセージについて
フライングサーカスを続ける意味
 みさきを主体とし、それでいてみさきのみに留まらず、サブキャラ含めた全てのキャラクターに焦点の当たるテーマとなっていました。皆が皆、乾が登場した夏の大会と波乱の秋の大会を経て『自らが勝つための方法』を画策する。その裏には、各々の『フライングサーカスを続ける意味』が見え隠れしている。それはとても個性に富んでいて、だからこそキャラクター一人一人に『魂』を感じられる。よくもまぁここまで仕上げてくれたものだと……。
 ちなみに、個人的にはこれって『あおかなTWEI』でやりたかったテーマでもあったのかなーなんて考察しています。展開からしても、ところどころに『あおかなTWEI』の片鱗が見受けられたような気がしたので。そういう点からしても、やはり本作って『蒼の彼方のフォーリズム』からの『正統続編』であるようにも思えてしまうんですよねぇ。

おわりに


 『蒼の彼方のフォーリズム EXTRA2』感想、いかかだったでしょうか。

 期待以上のクオリティで大満足です。あとは『あおかなTWEI』のプロジェクトさえ復活してくれれば文句無しなんですけれどもね……。TWEIであるのかは分かりませんが、日向晶也の復活&ボスバトルラッシュを早く観たいです。

 次にプレイする作品は、『AMBITIOUS MISSION』を予定しております。

 それでは✋