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『Aguni -運命の先-』感想

目次


はじめに


 ちゃすちゃす✋
 どーも、永澄拓夢です。

 てなわけで、今回の感想対象作品はこちら!

『Aguni -運命の先-』
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 同人サークル『Circletempo』さんの処女作でありながら、本サークルの代表作である『MYTH』の補完的役割も担っている作品です。
 この度は、『MYTH』と併せての推奨攻略順があるということをTwitterにて教えていただいたので、それに従ってプレイしていく所存であります。
 なお同じ方から、とあるルートを指して「心してかかってください」とのメッセージもいただいておりますので、内心ビクビクしていたりもするワケですが……。
 一先ずは楽しみの方が大きいです。どのような作品に仕上がっているのでしょうか。

 というワケで、さぁ蓋を開けますわよ!

 ※本作は、MYTHの作中1周目を終えたタイミング(未完走状態)でプレイしております。

あらすじ


 アグニ。
 精神力が支配する世界。
 ヒトには『超力』という力が備わっていた。
 精神内に構築された情報を具現化出来る能力。
 一般民は、その力を生きる糧に。
 高等なそれを持ったものは治世に試用した。
 そして、超力を持たない者は……。
 ヒトは彼らを『インシ』と呼んだ。
 超力を試用する精神力もない、ただの塵屑――。
 階級化された世界では、自然。
 『インシ』は蔑視されていた。

 アグニ暦200年。
 新任の統治者・悧里は、今日も超力を試用する。
 目的は、危険因子『華』の排除。
 『華』はミタカミ内にて組織されている、超力者の壊滅を目論む危険思想集団。
 それを壊滅に追いやる事も、統治者としての悧里の任務だった。

 『華』の排除を行う中、悧里は占者・綺姫より『死』を予言されて――

 『冷鬼』とまで称される統治者・悧里。
 『慈子』として親しまれる占者・綺姫。

 二人の『運命』はインシとの争いを巡り、交錯する。

 引用元

所感


 決してつまらないというワケではありませんでしたが、単品として見るとあまり満足度は高くないです。
 あくまでも『MYTHの補完作品止まり』という印象は拭えませんね。
 ただ一応、メッセージ性や展開的に魅入るシーンはありましたので、その点では楽しむことが出来るのではないかなと。
 『MYTH』をプレイするのであればプレイした方が良いのは確かですので、その際はぜひ触れてみてください。

 本作は、Bad end3つ+True endのマルチエンディングで構成されています。
 しかし、『MYTH同梱版』ではTrue endのルートしかプレイすることが出来ません。
 そのため、可能性であれば、フリーで配布されている『単体版』も併せて確保することをオススメします。
 (単体版はBad end 3を読了するとフラグがバグってその後他のルートにいけなくなるバグがありますのでお気を付けください)
 ※最近、本サークルの公式サイトが見られなくなったので、ダウンロード可能サイトが見つかり次第リンクを添付しておきます。

~以下ネタバレ有~











総評


●シナリオについて
 あくまでも『MYTH』の前日譚であり補完作品です。それも、主人公ではなくサブキャラ方面の前日譚ですね。
 単品で面白さを期待する作品ではありません。
 個人的には面白さよりも胸糞悪さの方が勝りましたね……。いや、おそらくはライターさんも狙って書いているので、むしろそう感じさせたという意味で評価点ではあるのですが。

 結局のところ因果応報というか、憎しみは憎しみ、争いは争いしか生まないというか。争いは同じレベルの者同士でしか発生しないというか。
 本作では、互いにいがみ合い、差別し合っている『超力者』と『インシ』の様子が描かれましたが、その実どちらも似たような魂胆なんですよね。
 自分と違う存在だから見下していい。敵対勢力要素を持っているから無抵抗の相手でも問答無用で迫害してもいい。
 そういった差別意識が正当化されている社会において、やられたらやり返すを徹底していたら、そりゃ巡り巡ってこんな荒んだ世の中にもなりますよ。
 ほぼどのエンディングでも、『超力者』と『インシ』のどちらもが同じ『ヒト』なのだという結論に至り、必要以上にインシを殺したことを悧里が後悔して処刑されるという流れになるワケですが……。ここで「悪いのは全部悧里」という扱いになっていた点がかなりの胸糞ポイントではありましたね。
 悧里は『運命』に翻弄されただけというか、この荒んだ社会自体が悧里という殺人狂を生み出してしまったのに、そういう社会を正当化している民衆は素知らぬ顔で石を投げる。なんとも……そりゃアグニ様もこんな世界さっさと終わらせたがりますわ(いやまぁ真意は違うでしょうけど)。

 なにはともあれ、ひたすらに悧里と綺姫が『運命』に翻弄され、可哀想な物語でした。
 しかしまぁ、だからこそ彼女たちの『運命の先』(運命を変えた先)というモノがより輝かしく思えるのかもしれません。
 True√では『運命の先』にてヴァルキリーと出会い、『MYTH』への扉を開くワケですが……。はたして彼女たちは『運命の先』にて幸福を掴めるのか否か。『MYTH』を完走するのが楽しみです。

 ちなみに、Bad end 2は世にも奇妙な物語感があって好きでした。
 悧里が連れていかれた『地獄』。頭がラジカセの人間で溢れる『未来』。
 表面上だけの言葉。心の無い偽感情。不幸の無い世界。
 『不幸の無い世界は幸福なのか?』という命題に対する一つの答えだったのでしょうね。
 ああいうの、ゾッとしますよね……。

●キャラクターについて
 『悧里』について。本作の主人公。統治者。冷鬼。『全知』の超力者。
 本作ではインシを憎むあまりに虐殺者と化してしまいましたが、子供時代の経験を見ていると同情せざるを得ないです。
 彼女のような哀しい人間を作り出した社会全体が悪い。

 『綺姫』について。占者。悧里の義妹。『未来予想』の超力者。
 どこまでも優しい娘です。同時に、彼女にとっての悧里がとても大きな存在であることが伝わってきます。
 役割的にはあまり救いの無い立ち位置キャラのような気もしますが、『運命の先』にて幸福を掴めるのか否か……。

 『無夢』について。『勝利』の超力者。悧里の師匠であり側近。
 アグニが亡くなった年に生まれて以降生き続けている点からして、謎に包まれた人物です。
 いちおうMYTHの人物相関図には「アグニによって長寿にされた」的な記述がありますが、MYTHの方で詳しい真相は明かされるのでしょうか。

 『』について。『通交』の超力者。悧里の側近。『華』の先導者。
 出番の割にあまり掘り下げられることのなかったキャラです。
 全知で他者の心を読める悧里の側近でありながら、その敵対組織の『華』を先導しているあたり、精神的には相当なやり手と推察されます。

 『アグニ』について。200年前にミタカミを治めていた絶対者。
 神聖視されていたり、死後も超力がミタカミを守っているとか言われていたりと、なかなかに規格外な存在であることが匂わせられていますが、こちらもわりかし謎多き存在。
 ただまぁ、インシの差別を推奨しているあたりロクな性格ではなさそう。

おわりに


 『Aguni -運命の先-』感想、いかかだったでしょうか。

 正直あまり掘り下げることは無かったので、だいぶあっさりとした感想になってしまいました。
 補完的役割は果たしてくれたのでまぁ良いかなという感じです。『MYTH』の方に期待ですね。

 次は『MYTH』の作中2周目に突入していきます。

 それでは✋