目次
はじめに
ちゃすちゃす✋
どーも、永澄拓夢です。
てなわけで、今回の感想対象作品はこちら!
『アリスニャットシング!』
前回に引き続きシンセティックガール作品です。『つくも3回サンク』がとても良い作品だったので、スピンオフ的な立ち位置の本作には期待を寄せています。
というワケで、さぁ蓋を開けますわよ!
あらすじ
主人公、賀東ありすはかつて入院中に知り合った友人 キッコに会うため旅行していた。
到着した町にはキッコは居らず、彼女の幼馴染のニヤと弟のタカヒロと出会う。
約束を果たすために、ありすはこの町でキッコを探し出すことを決める。
大人と子供のはざま、明るくて悲しい ありすの短い旅の物語。
引用元
所感
『アリスニャットシング!』
— 永澄拓夢(エスタク) (@kingtakumu530) 2023年9月17日
完走
相変わらず心地良い読後感。心を揺さぶる物語。
『つくも3回サンク』の続編としての満足度は非常に高い。ただ、テーマ的な部分まで理解しようと思うと『つくも3回サンク』の内容が前提として根強く絡んでくるため、単品としての力は若干弱まるかもしれないと思った。 https://t.co/j2WrTq0c0R
~以下ネタバレ有~
総評
●シナリオについて
『つくも3回サンク』の続編としては満足度が高いです。ただ、語られるテーマの前提に『つくも3回サンク』が根強く存在しているので、単品作品としては少々弱いかもしれませんね。
とはいえ、ところどころ挟まるアニメーションやアイキャッチなどの演出面は見ていて非常に楽しく、相も変わらずなクオリティの高さに驚かされてばかりでした。
本作では、前作の『つくも3回サンク』に比べて、『失われたもの』により焦点が当てられていたような印象を受けました。『死者の想い』や『幽霊』という単語を多用し、物語終盤では亡くなった友人であるキッコの想いの行方についての思索が賀東ありすによって繰り広げられています。前作における賀東在処の母親に対する思想をより深く具体化して掘り下げたような感じでしょうね。兄妹だけあって、考え方もよく似ている。
失ってしまったモノは実体としてはもう周りに”無い”けれど、関係した人々の記憶(≒思い出)の中には”有り”続けるのですよね。『つくも3回サンク』では”現在”周囲にいてくれる人々と自分自身を大切にすることが幸せになる方法だと語られましたが、本作ではその”現在”という部分をより広げ、”過去”にまでその考え方を適用しようとしているのだろうと解釈しました。過去に”有り”、そして今も記憶の中に”有る”モノに感謝を。……前作において賀東在処が悲しくとも母親を忘れることを拒んだのは、この考え方が念頭に置かれていたからなのかもしれません。まぁ、自覚的か無自覚的かは分かりませんが。
本作は、前作テーマのさらなる掘り下げと同時に、自身を置き去りにした水槽の外の世界で賀東ありすは生きていけるのかを描いた作品でもあったと解釈しています。個人的には本作の特性としてこちらの側面の方が好きだったりしますね。
前作感想にも書き綴りましたが、私は前作プレイ時、以前に聞いた「長く水槽の中で飼われていた魚は野生に返すとすぐに死んでしまう」という言説と賀東ありすの状況を照らし合わせました。故に、前作終了時点ではまさしく水槽の外の野生に放り出されたのと同義な状態であった賀東ありすが心配で心残りだったのです。その蓋を開いたのが本作。案の定、自身だけが周回遅れの世界の中で、賀東ありすは息苦しさを覚えていました。しかし結論から言うと、本作は賀東ありすに生きる上での前向きさを与えてくれる内容となってくれました。失ってしまったモノへの感謝と、その行き先の答え。そして、新たな周りにいてくれる人を手に入れた賀東ありすの人生は、きっと今後さらに楽しいものになるのでしょう。だからこそ私は、本作の存在に感謝したい。本作の存在こそが、まさしく有り難くありがたいのです。あぁ、これで『つくも3回サンク』に対する心残りは無い。
おわりに
『アリスニャットシング!』感想、いかかだったでしょうか。
シンセティックガール作品の虜になりそう。
次にプレイする作品は、『KUMA Mercy the Bear.』を予定しております。
それでは✋