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『流星ワールドアクター Badge&Dagger』感想

目次


はじめに


 ちゃすちゃす✋
 どーも、永澄拓夢です。

 てなわけで、今回の感想対象作品はこちら!

『流星ワールドアクター Badge&Dagger』
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 2019年にHeliodorさんから発売された『流星ワールドアクター』の続編にあたる作品です。
 ライターは『暁の護衛』や『レミニセンス』、ライトノベルで言えば『ようこそ実力至上主義の教室へ』で有名な、かの衣笠彰梧先生。そして原画は『恋と選挙とチョコレート』で有名な春夏冬ゆう先生という非常にお強い布陣による作品となっております。

 衣笠先生の作品は基本的に結末がぶん投げであることで有名ですが、前作の『流星ワールドアクター』も例に漏れず、様々な設定や伏線が未回収であったり、各ルートのラストがぶん投げられて終わったりしました。そのため、尚更続編である本作への期待度は高く、個人的には非常に楽しみで待ちわびた一品となっております。

 というワケで、さぁ蓋を開けますわよ!

あらすじ


 太陽に嫌われた国、第七共和国。
 過去の大戦で陽の光を失ったその国には、凶悪な犯罪者や見えない影が跋扈している。
 そのような悪から市民を守り、正義の拠り所となっている警察庁

 主人公日流ルカは、警察の中でも厄介者や問題児が集まる十三課(通称:ハコスミ)に所属している。
 特に大きな事件もない日々の中、ルカは過去に起きた”教団事件”の捜査を秘密裏に進めていた。
 そんな中、十三課に新たなメンバーが加わり、転機が訪れる。

 警察内で聞こえてくるキナ臭い噂、存在自体が謎とされている”輝きの同盟”。
 様々な思惑が暗躍する中で、ルカの、十三課の、警察組織の行き着く先は……。

 引用元

所感


 本作でも完結しませんでしたね……。
 面白くはありましたし、前作での不明点の一つにも焦点が当たったので、個人的には満足に近いという感想です。
 他作品や前作に引き続き、相変わらずキャラクターや世界観を魅力的に描く点に関してはさすが衣笠先生だなぁと思いました。
 前作よりも演出、面白さ共にパワーアップしていることは確実なので、前作を少しでも楽しめた方には本作も手に取ってみて欲しいです。

~以下ネタバレ有~











各ルート感想


 攻略順は、冬美√➡涼子√です。
 

共通パート

 安定して面白いと思います。
 やはり特に雰囲気やキャラ間のやり取りがいいですね。その点は他作品でも言えることから、純粋にライターである衣笠先生の手腕だと考えられます。

 開幕(第0章)からいきなり主人公が教団(前作で投げられた要素の一つであり本シリーズの本筋の一つ)関係者を殺して回るというシーンですよ。PVで一応分かってはいましたが、実感として「やっと本格的に教団に絡むシナリオが見られるのか……!」とワクワクしましたね。
 ただ、その後話が進み、ついに教団にルカの関与がバレたことでルカが狙われ始めるというワクワク展開になったところで作中期間が数週間前に遡ったのは少々残念でした。焦らしプレイですね……。

 第1章は、主人公が冬美と共に闇のアルバイトの先にある『キメラ計画』を追うという内容。事件自体は特に捻りのある内容ではありませんでしたので、単純に教団・輝きの同盟への架け橋という意味合いが強かったのだろうな、と。あとはまぁ、攻略ヒロイン昇格を果たした冬美ちゃんの見せ場作りも兼ねているような印象を受けました。まさかここまで可愛くなるとは思いませんでしたよ冬美ちゃん。

 個人的には関係性オタクの一面も持っているので、キメラ計画調査の際の規律違反に関して冬美を庇った主人公────ルカと、その意をあたかも当然の如く汲んだ上で対処した生田の、『決して仲が良いワケではないが、長い年月に裏付けされた理解と信頼(絆?)みたいなものが確かに存在する』と言える関係性を見せつけられて大興奮しましたね。ルカと生田は一見ウマが合わないように見えますし、間違いなくそれは事実なのですが、今回のように凸凹がカッチリとハマるシーンが点在しているあたりにそういう関係性を見出すことが出来るのは本当にテンション上がります。
 ルカと生田の関係性以外だと、これまた冬美を庇ったルカに対するクラリスや涼子の理解度が高かった点もまた関係性オタクとしての血が滾る要素となっていましたね。冬美に向かっていつもの調子で「下心ありありだから庇いました」感を装うルカに対し、長い付き合いである涼子やコンビを組んで1年になるクラリスは、それがルカの真意でないことをしっかりと察しているんですよ。しかもクラリスに関しては、その上でルカの気遣いまで汲んで、そのはぐらかしに乗っかるワケです。通じ合っていないとまず出来ない芸当なんですよね。素晴らしい。

角谷 冬美√

●シナリオについて
 うーーーーん……。なんか全体的に爆速で投げやりでした。露骨なオマケ感というか……。かろうじて設定的補完的役割のルートだったのかなぁとは言えますが……。

 冬美ちゃんが可愛かった点は良かったと思います。無印ではクールなだけという印象でしたが、本作ではドジっ子ギャップ等今まで隠れていたカワイイポイントを共通からして惜しみなく発揮してくれました。

 ただやはりシナリオがかなり投げやり。
 まず、本ルートの肝はおそらく『冬美が宗助の実妹だった』という真相が明かされる点です。しかし、いざ真相が明かされたところで、それ以上何も進展しなければどうしようもないです。そもそも真相解明後に宗助が登場すること自体が無いとは……。もっとこの生き別れの兄妹を題材にしてお話書けたでしょうに……と不満を抱く結果になりましたね。いやまぁ、無印の頃はこの事実に全然気づけなかったので驚きましたけど、本当にそれだけです。
 冬美との恋愛に関しても、正直釈然としないことばかり。まず、生田に憧れている冬美が、借りを返すためという理由だけで、嫌悪感を抱いていた主人公に処女を捧げるという流れには違和感があります。また、恋愛感情の発芽過程をすっ飛ばして、『s〇xが気持ち良かったから』という理由から始まったとしか思えない恋仲を見せつけられても、物語としては全然面白くないワケです。

 本当に、冬美ちゃんが可愛いだけで成り立っているルートだと思いました。涼子√に想いを託します。

●ヒロインについて
 『角谷冬美』について。一課所属。生田の腰巾着。宗助の妹。
 可愛かったです。まさかここまで可愛くなるとは、無印プレイ時点では思いもしませんでした。クールな印象を与えるキリっとした態度。しかし蓋を開けてみれば、軽いドジっ子属性持ちだったり、酒癖が悪かったりと、ギャップ萌え出来る要素を複数兼ね備えていて大変好みでした。あと貧乳はいいぞ。
 本ルートでは残念ながらお目にかかることは出来ませんでしたが、ぜひ彼女と宗助のその後を描いたシナリオが読みたいです。

原 涼子√

●シナリオについて
 涼子√と題しましたが、実質普通に本筋ですね。涼子との恋愛要素はほぼ無し。片手間に身体を重ねるくらい。個人的には冬美√のような釈然としないシナリオになるよりも、開き直っている本ルートの方がよほど好きです。

 ルートが確定するのが、共通パート0章の時系列に戻ってきたタイミングなので、そういう意味でもこちらが本筋ではあるのですが。始まった時には先が楽しみで仕方が無かったです。しかし若干期待しすぎたのもまた事実で、期待していたほどには盛り上がるシナリオじゃなかった点が少し残念ではありました。

 涼子との関係はけっこう割り切った関係で、どちらかと言えばセフレに近い感じでしょうか。変に恋愛感情が芽生えてそのまま付き合うことに~みたいな流れにはならなかったあたり、個人的には良かったかなと。
 にしても、ほぼ唯一の『涼子√らしいパート』とも言えるストーカー事件パート……。アレなんだったんでしょうね? 『龍が如く』的なアクションゲームでいう『サブクエスト』みたいな印象を受けるくらいになんだか浮いたシナリオでした。続編で活きてくるパートなのか、はたまた涼子√としての体裁を保つためだけに入れられたパートだったのか……。うーむ……。

 後半はガッツリ『輝きの同盟』に焦点が当たるパート。無印で明かされなかった要素の内の一つがしっかりと明かされてくれてご満悦です。
 『教団』から狙われる立場になったことでシナリオが超加速するかと思われたところでルカを安全な場所にぶち込みやがった大門寺さん。彼女の行動によってテンション駄々下がりだった私ですが、生田が行方不明になったあたりからは非常にワクワクしながらプレイすることが出来ました。鮫郭戦もアツかったですしね。

 最後のシュバルト登場は全く予想していなかったので、意表を突かれたこともあってテンション上がりましたね。
 雰囲気から察するに、おそらく次回作で完結であるとは思われますが、シュバルトの登場やアレックス・ながれの証言など、『次回作の繋ぎ』の部分でも非常にワクワク出来ましたので、次回作もしっかり購入して本シリーズのラストを見届けたいなと思いました。

●ヒロインについて
 『原涼子』について。行きつけの飲食店の店員。主人公とは長い付き合いの女性。
 あまり深く掘り下げられたヒロインではないので、『色気が凄かった』ということや『ルカの理解度が高い』くらいしか語ることがないというのが正直なところです……。
 いやホントに、怪しいキャラクターとしてもトップクラスなんですけどね涼子さん。未だに物語的役割すら見えてきません。本作で何かしらの掘り下げがあるものと思っていたのですが、おあずけなのか、はたまた本当に現状公開されている情報以上に掘り下げる部分の無いキャラクターなのか……。考察は尽きませんね……。
 ちなみに私は、涼子も『教団』関係者だと思っていたりします。

総評


●シナリオについて
 それなりに面白かったんですが、まぁいつもの衣笠作品よろしく未完だったなぁ……と。
 しかし相変わらずキャラクター同士の掛け合いは面白いし、キャラや世界観は魅力的だし、何より読みやすいしで、その点は衣笠先生の腕の見せ所という感じですね。むしろそういう部分を楽しむのが衣笠作品の”肝”だったりします。

 本作は役割的には『繋ぎ』の印象が強いと感じました。無印と最終章とを繋げるクッション的な立ち位置ってところですかね。

 いちおう冬美√と涼子√による構成であった本作ですが、ヒロインズとの恋愛劇として読むシナリオではまずありませんでした。本ブログでも素直に、第一章・第二章という表現を用いた方が良かったかなぁ~なんて思っているところです。

 個人的には、ルカと同期の『仲良しこよしではないが、互いを理解し、根底部分では一種の信頼も寄せている』という関係性がやり取りの端々で感じられるタイミングが点在していたことにテンション上がりました。こういう『関係性の機微』みたいなものを明示せずに伝えられるという点でも、やはり衣笠先生は上手いなと。

 本作での最も大きい収穫は、間違いなく『輝きの同盟』に関する真相でしょうね。実体こそちゃんと出てきたとは言えませんが、謎が明かされたのは大きいです。
 次回作では『教団』周りの伏せられている謎も明かされそうではありますし、楽しみですね。
 ただ、他にも残っている謎は多いです。無印完走時点で私がメモっていた残りの謎は以下の通り。
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 『輝きの同盟』に関しては先述もした通り本作で明かされましたし、『教団』に関しても心配はないでしょうが、他の謎が回収されるのかはイマイチ心配なところではあります。
 むしろ本作で大門寺周りの謎が増えましたしね……。

●キャラクターについて
 『ルカ』について。主人公。氷のキーパー。問題児。『教団』関係者キラー。
 相変わらず良い主人公です。強くありながら本気で強さをひけらかすことがない主人公って好きなんですよね。
 強くありながら強さを隠している点や若干お調子者な点、あまり他者から好かれてはいない点、荒んだ子供時代を過ごした点等、クセの強さも相まって、『暁の護衛』の主人公である朝霧海斗を彷彿とさせる主人公だよなぁとか思ったりします。まぁ、ライター同じですけど。

 『生田』について。ルカの同期。警視。実質本作のヒロイン。
 規律を重んじている固い男に見せかけて、実は彼も裏で『教団事件』を追っていたというのは非常に驚かされる事実でした。
 本作では無印の際よりも、ルカとの会話の中で見せるお茶目な軽口が多かったような気もしています。普段はいがみ合っている二人ですが、同期だからこそ気を許せている部分もあるのだと感じられて、関係性オタクとしての血が騒いでしまいますね。
 そもそも絶体絶命の状況で連絡を送る相手がルカという点も良いですよね。口では「信用出来ない」などと言っておきながら、そういう局面ではルカに連絡をするワケですから、表面的ではない一種の深い信頼関係が二人の間に構築されていることが伺えます。最後のサインの際も通じ合っていましたしね。ホントこういうの好きなんですけど。

 『宗助』について。ルカの同期。実績を残す問題児。
 宗助きゅんです。彼に関しても本作ではルカと一種の表面的ではない信頼関係や理解関係を築いていることが伺えました。最後あたりには迷いが見えましたが、この状況に彼がどう向き合うのかもまた、次回作での楽しみの一つです。

 『ストライコス』について。ルカの同期。
 本作では他の同期メンツほど登場しませんでしたが、正直同期の中では最も裏が見えないキャラクターです。無印でも軽く彼の追っている対象は言及されましたが、詳細や追う理由は明かされてないワケで、その点も残っている謎の一つですね。はたして次回作で明かされるのか否か……。

 『大門寺』について。警視長。炎のキーパー。本作にて初登場。
 ルカの能力を一時的に封じた張本人です。正直彼女に関してもイマイチルカにあそこまでした真意が見えてこない節があります。鮫郭事件からはなんの言及もなくフェードアウトしていましたし……。次回作で掘り下げられると良いのですが……。

 『アレックス』について。新十三課メンバー。十三課嫌い。
 ルカや生田とほぼ同期という点、鮫郭と繋がりがあるという点、今回の騒動と配属のタイミングが合致した点、ルカや他種族を嫌っている点など、怪しさのデパート状態な新キャラです。『輝きの同盟』を裏切って『教団』につこうとしている容疑者として個人的には筆頭に上がりますが、むしろあからさますぎて「逆に違うのでは……?」とか思っていたりもします。
 それはそうと、ルカに対するヘイトは凄まじいですね。『暁の護衛』の尊が可愛く見えます。

 『ながれ』について。新十三課メンバー。ぼっち気質。
 アレックスを怪しませた上で実は彼女が黒幕という可能性も考慮していましたが、最後にその可能性も提示されましたね。本作でもところどころに謎な行動シーンが挟まれていたりもするので、それらの真相が明かされるのも次回作までお預けになるんだなぁ……と。

 『鮫郭』について。政府直属の粛清部隊所属。『輝きの同盟』の一員。生田誘拐実行犯。
 そういやこんなやついたなという感じでした。強かったですね。
 死ぬ間際のセリフからして、多分死んでないですよね……。次回作でもひょっこり出てきそうです。

 『リンダ』について。ルイーズを率いる少女。元教団員。
 0章でフェードアウトしてそのままですが、大丈夫なんでしょうかね。彼女がルカに拘る理由も謎なままなので、そちらも次回作で明かされることを期待しています。
 ところで彼女の18禁シーンはありませんか??

 『シュバルト』について。教団幹部。不死身。
 次回作でのラストバトルはコイツとの闘いになると思われます。ぜひ同期全員で立ち向かってほしいです。

おわりに


 『流星ワールドアクター Badge&Dagger』感想、いかかだったでしょうか。

 本作で完結しなかったのは残念でしたが、次回作への期待は高いので、次回作の発売を楽しみに待ちたいと思います。

 次にプレイする作品は、『じごくのインターネッツ『贖罪と命』を予定しております。

 それでは✋