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『テレビの消えた日』感想

目次


はじめに


 ちゃすちゃす✋
 どーも、永澄拓夢です。

 てなわけで、今回の感想対象作品はこちら!

『テレビの消えた日』
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 かの『素晴らしき日々』や『サクラノ詩』で有名なブランド『ケロQ・枕』の姉妹ブランド『プチケロQ(現ぷちけろ)』から発売された作品です。

 普段は私、記事の「はじめに」パートを対象作品プレイ前に書いているのですが、実は本記事の「はじめに」パートは本作のルートを二つ完走したタイミングで急遽書いています。
 というのも、本作プレイ前から一周目の終盤に差し掛かるまでは本作のことをただの抜きゲーだと思っていたので、元は感想をブログに残すつもりがなかったのです。そのため、備忘録すらとっておりませんでした。
 しかしこれがまさかの大誤算。それも嬉しい方の誤算といいますか。想像を遥かに超えて面白かったワケです。これはもう感想を残すしかないと。
 備忘録もない上、いつもよりも速いペースで読み進めていたため、あまり掘り下げた感想は残せないでしょうが、何卒よろしくお願いいたします。

 というワケで、さぁ蓋を開けますわよ!

あらすじ


 ――12年前。

 太陽系に新たな彗星が加わった。

 新しい彗星はそれまであったどの彗星よりも巨大であり、

 彗星の持つ磁場は、
 地球への最接近時に大規模な電波不通をもたらした。

 通称
 『テレビの消えた日』

 地球から電波が失われた日、
 主人公・美作慎吾(みまさか しんご)は家族を失った。

 父の上司でもある穂坂健一によって、引き起こされた
 電波障害を利用した事故によって……

 事実を知った慎吾は、穂坂健一に復讐することを誓った。

 12年後――

 慎吾はひとりの新入学生と出会う。
 重なり合う記憶が告げる真実。

 彼女は穂坂健一の愛娘、
 穂坂七海(ほさか ななみ)だった。

 慎吾は、彼女をおとしめる事により、穂坂健一に復讐する事を決める。
 愛する人間がボロボロになれば、
 あの男も、自分が味わった苦しみを知る事になるだろう……と。

 引用元

所感


 まさかここまで面白いとは思ってもみませんでした。
 ホント、『凌辱モノ』という前情報しか持っていなかったため、てっきりただの抜きゲーだと思っていたのですが、そんなことはありませんでした。
 それなりにシナリオにも力が入っていて、展開も上手く盛り上げてくれたため、満足です。

 ちなみに凌辱パートもSLGとして盛り沢山だったため、そちら目的でもそれなりに楽しめるかと思われます。

~以下ネタバレ有~











各ルート感想


 攻略順は以下の通りです。
 七海bad√➡七海True√➡真尋√➡奈穂√➡流琉√
 

共通パート

 序盤で過去話と七海との再会が描かれ、あとはひたすらにSLGとして凌辱の限りを尽くす共通パートですね(日常会話はところどころにありますが)。
 これで抜きゲーじゃないのは凄いな……。

 凌辱内容はレベルが高くなるほど悲惨ではありますが、一線は引かれている印象でした。所謂グロゲーや胸糞ゲーほどキツイ凌辱はありませんでしたね。
 凌辱対象である七海ちゃんが、凌辱されているにも関わらず極端にその気を見せる娘でも無かったことも相まって、あまり凌辱ゲーをプレイしているという感覚は強くありませんでした。
 というよりはむしろ、日常パートに目が行きましたね。会話劇が普通にギャルゲギャルゲしていて面白かったですし。(ギャルゲギャルゲ???)

 それにしてもこれら凌辱内容と凌辱システム……つい最近『Diagnosis』という作品で見たな、と。
 『Diagnosis』とはケロQの長であるすかぢ先生が別名義で出した同人作品で、凌辱モノの抜きゲーです。抜きゲーとはいえ、論理哲学論考を引用した設定や、すかぢ先生がインタビューで度々口になさる「性欲と愛欲の同一性(だったかな?)」系の考え方が盛り込まれており、ケロQ枕作品ファンとしては手にとって置いて損の無い、興味深い内容の作品でした。
 ともあれ、本作にすかぢ先生はあまり携わってこそおりませんが、あくまでもシステムとしては本作は『Diagnosis』を受け付いだ作品だったとも言えるのかもしれません。

穂坂 七海√

●シナリオについて
 めっちゃ面白かったです。本作の感想をブログに残そうと思ったきっかけの√であります。
 Bad√・True√、どちらにも別種の驚きがあって良かったですね。

 True√については、素直に鳥肌が立ちましたね。
 正直、七海────芽生が妹であることや、飛行機事故自体が偽りの記憶であることは、可能性としてすら想像だにしておりませんでした。まぁでも芽生の真意を知ると、あれだけ凌辱されても壊れることなく、主人公にどこかズレたあの態度でい続けられたことには一応納得できますね。
 偽りの記憶の正体は、主人公が自身の罪に耐えきれずに無意識下で設けたセーフティであり、元となったのは作中でドラマ化もしている本だったワケですが。主人公が真実を思いだし、偽りの記憶(ドラマ)を振り切ったことを指して、『テレビの消えた日』とタイトル回収したラストは、個人的に評価したいポイントです。
 ただとりあえず、主人公にはちゃんと自分がやらかしたことを自覚し、自分の行いに対する罪の意識を蔑ろにしないで欲しいですね。たしかに芽生は「幸せ」だなんて言ってくれていますけど、明らかに他者にマワさせるとかはやりすぎなワケですからね。

 Bad√については、唐突に七海がヤンデレ化したことにビビりまくりましたね。「いやそういうタイプ!?」ってなりました。
 まぁでも、約10年間も兄のことを想い続け、果ては兄の心の慰みのためにあれだけ凌辱され、終いには兄の失われていた心を呼び戻すことまでしたのに、横から兄を掠め取られたらそりゃ狂っちゃいますよね。
 ……これ他ヒロイン√プレイして大丈夫……?

●ヒロインについて
 『穂坂七海────七瀬芽生』について。凌辱対象。実は妹。
 器がデカすぎる……。
 いくら主人公────兄が好きだからといって、さすがにあそこまで負の感情をぶつけられながら凌辱されたり、終いには主人公以外の人間にマワされたりすれば、さすがに心や気持ちは折れると思われます。しかしそれらを経ても芽生は折れず、ただ主人公の心の慰みを願い続けた。
 主人公クンはマジでこの妹の存在に感謝すべきかと……。

 いやでも、それはそれとしてBad√のメンヘラっぷりはヤバかった……。器がデカいというよりは、兄への愛が重すぎたからこそ主人公の行為を許せたとも考えられるんですかね……?

若名 真尋√

●シナリオについて
 負けヒロインとしての幼馴染が勝利する的な印象を受けた√でしたね。
 面白さはそこまでありませんでしたが、まぁボリューム的にサブヒロイン√でしたし仕方がないのかなと。
 幼馴染な関係だけに、恋愛感情のきっかけもちゃんと描かれていて、その点は良かったと思います。
 真尋ちゃん、報われてよかったね。

●ヒロインについて
 『若名真尋』について。主人公の幼馴染。読書家。メガネっ娘
 個別√ですら負けヒロイン臭が絶えませんでしたが、ちゃんと報われましたね。
 こういう一途に想いを寄せてくれる幼馴染がいて欲しい人生だった……。
 それはそうと、メガネヒロインは久々に見たような気がします。最近は人気が無いのかあまり見かけませんよね。

奥山 奈穂√

●シナリオについて
 こちらもボリューム的には短く、サブヒロイン√という感じ。キャラの掘り下げのためのシナリオって感じですね。
 奈穂が抱えている闇をカミングアウトしたシーンではかなり驚きました。こんなアホキャラが、義理の父親にレされた上に実の母親にも裏切られ、終いにはグレて数多のおっさんとヤりまくっているだなんて思いもしないワケですよ。
 そういう経験もあって、男を『気持ちよくなるための道具』としか見ていなかったハズの奈穂が、どうして主人公を好きになったのか。そのあたりの掘り下げは無かったため、釈然とはしませんが、驚きは得られたのでまぁ良かったかなという感じです。

●ヒロインについて
 『奥山奈穂』について。元気なちびっ子。裏では性的に闇を持つ可哀想な娘。金持ちグループの娘。
 前述もしましたが、元気な姿の裏ではかなり重い過去を持っている女の子です。こういうギャップは好きですね。
 行動の端々を見た感じ、ただのアホに見えるようで実は気を遣っている様子(乱入するタイミング等)が見て取れます。ああいう重い経験があるキャラは視野広くなりがちですよね。

仙川 流琉√

●シナリオについて
 特に何かあるワケでもなく、語ることも特にない√でした。ボリュームも少なかったですし。
 今までのヒロインはけっこう掘り下げられたりもしたものですが、本√ヒロインの流琉はそもそも掘り下げられることすらなかったという。
 まぁでも、展開的にはそれなりに良かったとも思います。
 『付き合ってみる➡「人を好きとは何か」という疑問から別れる➡本当の気持ちに気づき、答えを以て再び付き合う』という流れはあまり見たことがありませんでしたが、『好き』という気持ちをちゃんと考える段階がシナリオに組み込まれているのは恋愛劇の一環としては評価したいですね。
 まぁ、それはそれとして、本√も奈穂√同様に恋愛感情のきっかけが曖昧なままだったので、その点は釈然としませんが。
 いや、流琉に至ってはそもそも当初、主人公を怪しんで七海にスタンガンを持たせたくらいですしね。

●ヒロインについて
 『仙川流琉』について。陸上部。奈穂専門の暴力女。
 うーん……。正直、語ることはあまりないです。掘り下げもありませんでしたし、あまり好きなタイプでもありませんし。
 まぁでも、こういうヒロインは一度くっついたらそのまま一途でいてくれそうですよね。

総評


●シナリオについて
 想像以上に面白くて満足です。
 基本的に日常パートは会話劇が心地よいですし、個別√ではしっかり『驚きによる盛り上がり』も提供してくれました。さらに、退屈になりやすいであろう凌辱パートをSLGにすることで、ユーザーの退屈をなるべく軽減するような工夫が施されていた点も評価したい点ではあります(私自身はあまりSLG好きではありませんが……)。
 また、凌辱対象ヒロイン(七海)の態度が少々特殊であり、その点も読んでいて面白かったポイントですね。
 ただ、個別√がかなり短く薄味ではありました。ただでさえ共通パートでは七海以外のヒロインにあまり焦点が当たらないのに、個別√まで短ければそりゃ薄くはなるよな、と。特に恋愛が絡むシナリオにおいて、ヒロインの半数が恋愛感情の発端について曖昧というのは、個人的に釈然としない点です。そういう意味でも、七海√以外はあくまでもおまけな、七海√に突出した作品だったと言えるでしょう。

●キャラクターについて
 『美作慎吾』について。主人公。復讐鬼。
 最初に七海を襲った際に戸惑いを見せていた点や、クラスメイトたちにやらせた際に涙を見せた点から鑑みても、本当は優しい性格なのでしょうね。共通パート終盤にて七海が言及したように、心を失っていたからこそあのような所業を出来るに至ったのだろうなと。
 ただこれ、言ってしまえば"主人公が過去にやらかしたことを主人公自身が受け入れられなかった結果、ありもしない恨みで兄想いの妹に酷いことをするに至った"という物語なんですよね……。そう考えると、共通パート後に主人公が、何事もなかったかのように楽しそうに日常生活を送っているシーンを見て微妙な気持ちになりました。
 狂っていると言えるほどに七海────芽生が兄を愛していたからこそ成立した物語だったと言えます。慎吾クンは感謝と反省を忘れないように。

おわりに


 『テレビの消えた日』感想、いかかだったでしょうか。

 推しブランドであるケロQ枕関連作品を楽しめたこともそうですが、あまり期待していなかった作品を面白いと思えたのは嬉しい誤算でした。これは後作の『コトバの消えた日』にも期待して良いということなのでしょうか……?

 次にプレイする作品は、『Session!! ────真実嫌いの探偵は、』を予定しております。
 『コトバの消えた日』も挟むとは思いますが、こちらは普通に抜きゲーっぽいのでブログには感想を残さないかと。

 それでは✋