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『天神乱漫 LUCKY or UNLUCKY!?』感想

目次


はじめに


 ちゃすちゃす✋
 どーも、永澄拓夢です。

 てなわけで、今回の感想対象作品はこちら!

天神乱漫 LUCKY or UNLUCKY!?』


 商業ブランド『ゆずソフト』さんが2009年に世に送り出した作品です。ゆずソフト作品のナンバリングとしては4作目になりますね。ゆずソフト作品の中で唯一コンシューマ化されている作品でもあります。
 本作と言えば『\( ^ヮ゜)>』ですね。そう、荒ぶる荒ぶる天神乱漫のポーズです。その昔、ニコニコ動画に入り浸っていた方の中にはご存じの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
 そんなこんなで非常に楽しそうな雰囲気を漂わせる本作には、お仕事の忙しさで荒んだ私に心を浄化してくれることを期待しております。

 というワケで、さぁ蓋を開けますわよ!

あらすじ


 主人公・千歳春樹の日常は至って平穏なものであった。

 携帯落とせば水の中
 無くした財布は数知れず
 自転車漕いでりゃ事故に遭い、街を歩けば絡まれる

 ………たとえ他の人からすれば不幸と呼べるようなことだったとしても、この程度のことはトラブルのうちに入らないのが、彼にとって『普通』の日常である。
 そんな、尽きない厄介事と折り合いをつけ、平和(?)に暮らす春樹の元に“ソレ”は訪れた。
 ある日、突然届けられた宅配便。
 宛名もない、差出人も書かれていない『生物』というシールだけが貼られた荷物。
 いかにトラブルまみれの日常を過ごす春樹であっても、それは予想できるような中身ではなかった。
 まさか“女の子”が配達されてくるだなんて……。

 これこそが、春樹が手にした『新たなる不幸』…………ではなく『初めての幸運』であり、波乱の幕開けであった。
 春樹の不幸を拭うために来た! と言う少女は自らを“神様”と名乗り、彼をトラブルから守る名目のもと家に居座ることになるのだが……。
 彼女の行動が新たな問題を引き起こし、小さなトラブルはいつの間にか周りの人間も巻き込んだ大騒動に!

 そんなハチャメチャな毎日の中で、春樹が手にした『幸運』は一体何をもたらすのか?
 神様と名乗る少女の目的は?
 春樹に付きまとう不幸は消えるのか?

 答えはそう、これから始まる騒乱の日々の中に!

 引用元

所感




~以下ネタバレ有~











各ルート感想


 攻略順は以下の通り。
 まひろ√ ⇒ 紫√ ⇒ 姫√ ⇒ ルリ√ ⇒ 佐奈√ ⇒ 葵√

 

共通パート

●シナリオについて
 セリフの掛け合いが程よく面白いですね。
 展開自体はかなりあっさりしていましたが、イベントによってどのヒロインに焦点が当たっているのかが分かりやすく、バランスも良かったため、上手い物語構成だったという印象を受けています。その上で、どのイベントでもしっかりとヒロインの魅力を引き出していますしね。相変わらずゆずソフトさんはヒロインを魅力を引き出すのが上手いなぁ。

常磐 まひろ√

●シナリオについて
 程よく面白いルートだったと思います。少なくとも、サブヒロイン√とは思えないレベルですね。
 私が共感しやすいテーマだったが故に面白いと感じられたという線もあるかもしれませんがね。

 本ルートは、偽りの自分を演じるヒロイン────まひろが、自身を偽っていることを見抜いた主人公────春樹を監視するために付き合い、それが春樹にバレてギクシャクして、最終的に本当に好きになって真の恋人関係へと至るという物語でした。テーマに敷かれていたのは『偽りの自分と本当の自分』。特に物珍しいテーマというワケではありませんが、上述した通り個人的には共感しやすいので非常に好みのテーマです。
 本ルートの良かった点は、上記テーマに対して『偽りの自分を演じることは悪くない』とした上で『引き出された本当の自分を肯定する』という展開に舵を切ったことです。要は、「どちらが悪い」とも言っていないんですよね。『偽りの自身を演じること』も『本来の自身を表に出すこと』もちゃんと肯定しているんですよ。『Monkeys!¡』の感想記事でも語りましたが、私は学生時代に生存戦略として偽りの自分を被っていた時期があります。オタクを隠していたとかそんな話ではなく、ありのままの自分では他者に受け入れてもらえないと思ったが故に本来の自分を丸ごと覆い隠していたというレベルの話です。その経験から、私は『自身を偽る必要性』と『本来の自分を表に出せない苦しみ』の両方に理解があります。だからこそ、本ルートのように両方を肯定してくれるシナリオには非常に好感が持てるワケですね。

 展開の細かい部分の話ですが、まひろに心を弄ばれた春樹が偏にまひろを悪者として扱わなかったのは良い采配だったなと思います。たしかにまひろの行った行為は酷いモノですが、アレって別段悪意を以て行った行為ではないんですよね。生存戦略的に、自身の臆病な性格から行われた行為なんですよ。しかも、まひろの不安を煽ってあのような行為に及ばせたきっかけは他ならぬ春樹の軽率な指摘なワケですからね。あの場面で春樹がまひろを悪者として扱ったり、過剰に被害者ぶったり、激しくキレだしたりなどした暁には、「自分のことを棚に上げるな」という不満が本感想記事には刻まれていたことでしょう。春樹が怒らなかった理由はまた別でしたが、感覚的には上述したことに関しても理解していたが故の落ち着いた態度だったのだと思います。ただまぁ、姫がまひろに対して怒っていた点は仕方がない。まひろが好きでもない春樹と付き合うなどという行為に及んだ理由やきっかけを知らないのですから。むしろ、全てを知っている春樹が怒らず、一部始終しか知らない姫が怒るという構図もまた、ライターさんによる繊細な良采配だと思います。

烏羽 紫√

●シナリオについて
 教師と生徒の禁断の恋というエロゲにありがちなルートでしたが、特に何か強いメッセージ性を感じるワケでもなく、至って無難なイチャラブシナリオとなっておりました。
 本来サブヒロイン√の比重ってこんなもんですよね……。

 ただまぁ、『悪漢に絡まれた際に手を出さずただ耐えること』を変に美談化しなかった点は個人的に評価したいところですね。『非暴力は美しい』みたいな考え方は個人的に反吐が出るほど嫌いな考え方なので。『暴力は手段である』という話は度々語っているのでここでは割愛。

卯花乃佐久夜姫√

●シナリオについて
 とても面白かったです。
 まさか、ゆずソフト作品でここまで心躍る展開を読むことが出来るとは思ってもみませんでした。

 本ルートは、姫が神の力を上手く扱えなくなってしまった状況下において、これまでのルートでは問題無く開催出来ていた文化祭が中止の危機に晒され、それを防ぐために主人公────春樹とその仲間たちが必死に奔走するという内容だったワケですが……とにかく展開がアツかった。これにはアツい展開が大好きな私もニッコリ。大満足です。
 特に盛り上がりが顕著だったのはやはり、『春樹が上役の神に向かって啖呵を吐いたパート』と『説明の場において先生たちを納得させるパート』でしょう。前者に関しては、『主人公』として苦難からは決して逃げないという構図を成立させる上で充分な見せ場でしたし、後者に関してはこれまでのちょっとしたシーンの数々が伏線となって打開策に繋がっているという物語構成に感嘆とさせられました。先生たちへの説明にしてみても、粗々しいながらもちゃんと納得出来る内容だったというのも評価点。アレは実現可能性よりもコストの低い学生を運用出来るようになるということ自体が商店街のメリットに繋がるのだから充分正しいんですよね。いやホント、素晴らしい展開の数々でした。

 本ルートにおいて個人的に評価したい点は、”不運体質のキャラクターを主人公に据えた作品”における”神の力を扱えるヒロインの個別ルート”でありながら、あえて”不運という思考停止な結論に逃げず、現実的な解決方法で苦難を乗り越えた”という点です。
 もちろん設定を大切にし、『不運な出来事』は不運が原因だから仕方ないとして、解決策は『神の力』で何とかしてというのも物語としては決してナシではないのでしょう。しかしそれだと私が思うに、あまりにもメッセージ性の欠片も無い凡夫な物語になってしまうのではないかと。では、あえてそれら設定に逆行した本ルートからは一体何が見て取れたのか? それは、『不運だからという思考停止した結論に逃げず、もっと何が原因だったのかを考えろ』というメッセージです。これまでこれでもかと言わんばかりに理不尽な『不運』をユーザーに見せた上で、あえてその不幸をユーザーよりも長く見てきたであろう祖父さんに「お前に抜かりがあったということ」と言わせることによって、本メッセージは絶大な効果を持ってユーザーへと伝わります。実際考え直してみれば、文化祭が中止になるきっかけとなった出来事は全て事前に防ぐことが出来た事項ばかりですし、その後の展開ではしっかりと何が悪かったのかを分析して現実的な解決策を生み出すことに成功出来ています。要は、本ルートの展開自体がユーザーに上述したメッセージを伝える構造になっているのです。ユーザーの皆さんの中にもいらっしゃるのではないでしょうか? よからぬ出来事の後、『不運』や『不幸』を理由に片付けてしまった経験が。しかし本ルートに言わせればそれは”思考停止”に他ならないワケです。ここで不運や不幸という曖昧な理由に逃げず、ちゃんと原因を分析することによって、今後再発を防止出来ることだってきっとあるんですよ。そういったメッセージを伴った物語が、本ルートだったのだろうなと私は解釈しています。

竜胆 ルリ√

●シナリオについて
 良い話だったと思います。路線は感動系なのかなと。

 本ルートは、ヒロインである竜胆ルリが、過去に犯してしまった罪から解放されるという内容の物語でした。
 ルリの背負う罪は千歳家の天罰に深く関係するものであり、本ルートによって主人公────春樹が背負う天罰の謎が明かされます。この点からして、本ルートは本作においてかなり重要なポジションにあるルートであったと考えられます。

 ルリの『善意』による嘘が、やがては親友の家系を子孫に至るまで苦しめる結果へと繋がってしまうという構図には考えさせられるものがありました。ヨーロッパには「地獄への道は善意で舗装されている」という諺が存在しますが、過去のルリの行いはまさしくその諺を体現していると言っても良いでしょう。善意によって為された行為であってもそれが良い方向に働くとは決して限らないということは、常々私たちも念頭に置いて日々を過ごさなければならないのでしょうね。

 個人的には本ルート、主人公である春樹がめちゃくちゃルリのために頑張る展開だったので満足です。覆すのが非常に難しい状況下においても決して諦めない姿勢は姫√でも見て取れた通り。やはりこのように主人公がちゃんと『主人公』をしている作品は満足度が高いですね。

 また、本ルートでは春樹の不運設定が大切にされていた点も評価したい点です。勿論、不運の原因である天罰に深く関係するルートだったからという理由もあるのでしょうが、これまでにプレイしたいくつかの個別ルートではあまりにもどこか春樹の不運設定が隅に追いやられて形骸化していたようにも見えたので……。一度提示された設定は大切に扱ってほしいという気持ちがあるため、個人的には本ルートの『設定を大事に扱っていた点』を評価したいな、と。

千歳 佐奈√

●シナリオについて
 うーん、正直あまり私の肌には合わないシナリオでした。
 良い話ではあったと思うんですが、展開がね……。

 本ルートは、主人公である千歳春樹とその義妹である千歳佐奈の関係が兄妹から恋人へと変化することに伴う各々の葛藤やらなんやらを描いた内容の物語となっていました。
 葛藤描写は非常に丁寧で、各人の心の揺れ動きを微細に捉えて描写している点は評価したい点なのですが、それが行き過ぎるあまり展開が過剰に引っ張られて全体的にグダってしまっていたようにも感じられました。とはいえ、これだけ引っ張る方が好みなユーザーも存在すると考えられるので、本ルートの展開の流れが良いものだったのか悪いものだったのかは一概に断言出来ませんね。この点は賛否が分かれるところでしょう。

 上述したグダりを差し引いても、本ルートが他ルートと比較して若干薄味であったことは確かかと思います。というのも、佐奈周りのイベントは個別ルートでやってもよさそうなことを共通パートで消化してしまっているんですよね。また、共通パート時点で発覚していた佐奈の正体からしても個別ルートにおける展開はある程度予想出来てしまっていたワケです。全体的に間延びしていて且つ抑揚もあまり感じられなかったという点から、私はあまり本ルートで満足感を得ることが出来なかったという次第でした。

 メッセージ的な部分では「いつ死ぬか分からない人生の中で、死ぬ瞬間までを幸せに過ごそう」みたいなことが語られていましたが、これに関しては共感しました。私もいつ死ぬかなんて分かりませんから、なるべく無駄に消費する時間を減らし、やりたいことに時間を費やしたいものです。

山吹 葵√

●シナリオについて
 可もなく不可も無しなシナリオでした。突出して面白いワケではありませんでしたが、かといってつまらなかったというワケでもなく……といった感じ。

 『ずっと一緒にいることが当たり前だった幼馴染の関係から不意に互いに恋心を自覚したことによって関係が変わっていく物語』としては質が高かったと思います。『好きになった⇒じゃあ付き合おう』みたいに安直なシナリオではなく、今までずっと一緒だったからこそ関係を壊すのが怖いという葛藤も描いたシナリオだったのが評価ポイント。幼馴染ヒロインという性質を上手く活かしていたと思います。加えて、ヒロインの視点での描写も大切にしていた点が尚良しですね。こういう関係性の変化は、主人公とヒロインの両者視点が揃っていてこそであると考えています。
 しかし、そういう物語であったからこそ不満に思ったのが、『ヒロインである葵の恋心が不運によって隠されていた』という設定です。個人的には、幼馴染という関係性でいつも一緒にいるからこそ恋心には気付けないという体裁であって欲しかった……。たしかに不運設定を大切にしてくれることも嬉しくはあるのですが、なんというか……「違う、そうじゃない」という気持ちで読んでいました。

 本ルートにおける最後の展開(春樹の天罰を葵と分け合う試練)についてですが、これも不満点の一つですね。いや、二人で試練に挑むという展開自体は良いんですよ。葵が春樹の不運に対して何もしてやれなかったという過去を清算するための試練ともなれば尚更好ましい展開です。じゃあどこに不満を感じたのかというと、この展開自体の緊張感の無さに対してというのが答えになります。最後の試練は軽く上述もした通り、『春樹の天罰を消すために葵と春樹が不運を分け合う試練』なんですよ。しかしこれ、別に失敗したところで何のデメリットも無いんですよ。事態が悪化することもなければ、なんなら姫の検定はほぼほぼ合格で決定しているっぽかったんで、この試練を受ける以前に既に春樹の天罰は解かれることが決定していたワケです。春樹はすっかり忘れていたようですが、さすがにこれだけ重要な設定をユーザー側は忘れないワケですからね……。緊張感を抱けるハズもなく……。んで、そんなことを思っていたら結果的に試練は失敗。でも姫が検定に合格したから天罰は解かれると。最初から出来レースというか何というか……。たしかに「二人で苦難を乗り越えるこのの重要性」みたいなことをこの試練に挑んだことで学んだようなので、この展開自体に意味はあったのでしょうが、それはそれとして魅せ方としては何とも不満の残る展開であったと感じました。

総評


●シナリオについて
 要点を抑えた良作という印象です。
 ヒロインの魅力とイチャラブは健在でありながら、魅せる展開はしっかりと魅せる。日常パートにおけるコメディも適度に面白い。また、後作である『のーぶる☆わーくす』ほどのテーマの一貫性はありませんでしたが、本作もルート毎にテーマやメッセージ性がしっかりと存在していたと考えると、適度に良質の作品であったと言っても過言では無いでしょう。

 本作、全体的に主人公がちゃんと能動的に展開を動かして『主人公』を務めていた点が非常に好印象でした。佐奈√でだけは若干グダりすぎな気があったためイライラしましたが、それ以外のルートではかなり主人公の言動に満足しております。
 また、個別ルートにおける登場キャラクターがヒロインに偏ってしまっていないという点も好印象ですね。こういうイチャラブ系のジャンルだとどうしても登場キャラクターが主人公とルートヒロインだけになってしまって他キャラクターが全く出てこないみたいな展開が描かれがちな気がしますが、本作ではしっかりとどの個別ルートでも他キャラクターが絡んできていた点が良かったと思います。親友枠である庵や虎太郎もルートによっては重要なポジションを担っていましたしね。

 ただまぁ本作、いくつかの個別ルート感想でも述べた通り、若干不満の残る展開はチラホラと存在したのも事実。ところどころ整合性が取れていない要素もあった気がしますし、突出して面白い作品だったというワケでもないため、個人的評価としては良作止まりかなという感じです。

●キャラクターについて
■『千歳 春樹』:主人公。不運体質。
 先祖が負った天罰により、生まれつきの不運体質に苦しむ少年。
 意外と熱血漢で、自らの意志を以て能動的に展開を動かす様子や逆境に立たされても絶対に諦めない姿勢にはかなり好印象を抱きました。やはり『主人公』とはこうでなくては。
 ビジュアル的にも絶妙でしたね。喧嘩の腕っぷしも強いけどそっちが本業ではないエロゲ主人公としてはピッタリなビジュアルだったと思います。個人的に『はつゆきさくら』の主人公である河野初雪がこんな感じのビジュアルであって欲しかった……。

■『卯花乃佐久夜姫』:本名=咲夜。試験中の土地神。
 神としての試験に合格するため人の世に降りてきた神様。春樹の天罰を解呪するキーマンでもある。
 ビジュアル的にはあまり好みではありませんでしたが、ノリが良くてからかい上手な楽しい性格はとても好きです。
 人の世から目を逸らしたのは自らが人の苦しむ姿を見たくないからというエゴが語られましたが、その根底にあるのはきっと他者の痛みが分かる優しい心なのでしょうね。

■『竜胆ルリ』:獣人。姫の従者のような存在。
 姫を追いかけて人の世に降りてきた神性を纏う獣。狐でありながら猫のような性格のヒロイン。
 呆れ顔やどや顔の表情がとても可愛らしいです。見た目と性格の影響か、どちらかといえば”娘”感が強いので、庇護欲がそそられますね。
 千歳家の天罰にルリが関係しているという設定はさすがに予想しておりませんでした。他ルートにおけるルリは、これから先もずっと罪の意識を背負い続けることになるんでしょうかね? マルチエンディングの作品あるあるですが、そう考えると少しやるせない気持ちにもなります。

■『千歳 佐奈』:春樹の義妹。祖霊から分離し、”個”を得た存在。  とても可愛らしい妹キャラです。
 家庭的でお兄ちゃん大好きっ娘。その上、煩悩気味で全く不快感の無いツンデレ。おまけに貧乳。ビジュアルも性格も大変好みで、ヒロインとしては満足ですね。こんな義妹が欲しかった……。

■『常盤 まひろ』:学生会長。
 子供の頃に周囲とのズレによって虐められたが故に偽りの自分を被ることを覚えたヒロイン。
 本来の自分を出せるようになってからは、不思議と笑顔が自然になったような印象を受けました。おそらく表情差分は同じなハズなのにそう感じさせられた点がまた凄いなと。
 個人的には終盤の嫉妬深いまひろ先輩が好きです。
 そういえば、カレーヒロインと言えば某青髪メガネの代行者を思い出しますね……。

■『烏羽 紫』:春樹の担任教師。
 教師にしてはどこかテキトーさを感じさせる人物ですが、教師になった理由から鑑みるに実はわざとそう見せているだけという説もあったりしますよね。
 個人的にあまりドS気質なヒロインは好みではありませんが、ビジュアルはとても好みでした。バニー先生と水着先生カワイイヤッター。

■『東雲 庵』:春樹の親友。放浪癖アリ。
 典型的な勉強は出来るバカ。しかしその性格はいじられキャラとして絶妙でした。
 夏休み中は体良くシナリオから排除されていたようにも思えますが、ルリ√ではかなり重要なポジションのキャラクターとして活躍していましたね。
 こういう親友がいると、きっと楽しいだろうなと思いました。

■『浅葱 虎太郎』:春樹の親友。春樹の幼馴染。霊感体質。神社の跡取り息子。
 サッパリしていて自分の意見をしっかりと言うタイプながらも、情は厚いタイプのキャラクター。
 霊感体質且つ神社の跡取り息子という設定上、様々な個別ルートで体よく神の降霊先として使われていましたね……。お疲れ様……。
 虎太郎自身が何かしら重要なポジションに立つシナリオも見てみたかったなぁという不満が若干残ります。
 春樹、虎太郎、庵の男三人がバカやるだけの短編おまけシナリオください……。

■『千歳 眞一郎』:春樹と佐奈の祖父。喫茶店のオーナー。スケベジジイ。
 セクハラ常習犯の爺さんでありながら、名言製造キャラクターとしての一面も持ちます。
 特に、姫√における不運を言い訳にして原因の究明を怠るな的なセリフは心に残りました。
 とりあえず、『俺たちに翼はない』の軽部狩男と対談させてみたい……。

■『山吹 渉』:葵の姉。紫の学生時代からの友人。
 ノリの良いお姉さん。
 春樹に対しては全く脈ナシな印象ですが、それでも個別ルートが欲しかった……。

■『木賊 朋花』:春樹のクラスメイト。葵の友人。新聞部所属。
 とても活発で可愛らしいキャラクター。元気印な女の子は見ていて華がありますね。一周回ってこういう娘が好きかもしれません。個別ルート無しにしておくのが惜しいですね。
 夏の私服でシロガネ山の頂上に佇んでいそうな人の帽子らしきものを被っていたのは少し気になりました。

●テーマ・メッセージについて
不運を言い訳にして思考停止するな
 これは完全に深読みですが、私個人はこういうメッセージを本作から受け取りました。
 何かに失敗した際、思い返してみれば「あそこでああしていればよかった」という要素も浮かんでくるものですからね。何事も「運が悪かったなー」で済ましてはいけないものです。これは姫√で体現されていましたね。
 また、「不運を嘆くばかりでなく周囲を見渡してみろ」というメッセージも内包されているのかな、と。これは葵√で言及されたことですが、自分が恵まれている要素は意外と身近にあるものなのですよね。

おわりに


 『天神乱漫 LUCKY or UNLUCKY!?』感想、いかかだったでしょうか。

 不運体質の主人公ですらこんなにもヒロインに恵まれているのに、私ときたら……。もしかして私も不運体質? 姫さーーん、助けてくれぇーい!

 次にプレイする作品は、『サクラノ刻』を予定しております。感想記事はおそらく作りません。あの作品を語るための力を、きっと私は持ち合わせていないから────

 それでは✋